「ホームページはあるのに相談が来ない」「顧問先からの紹介に頼っていて、次の契約がいつ決まるか分からない」。税理士事務所の集客を見直したくても、決算や確定申告の対応をしながら、新しい営業方法を試す時間を確保するのは大変です。
この記事の結論
税理士が顧問先を増やすには、創業・顧問変更・経理の見直しなど、受けたい相談に合わせて集客方法を選び、ホームページで支援内容と費用を伝えながら、その相談に接する企業や士業との紹介関係を広げることが有効です。
この記事では、法人・個人事業主の顧問先を増やしたい所長に向けて、集客方法の選び方、税理士ならではの相談の入口、紹介を増やす進め方を解説します。集客専任の担当者がいない事務所でも、最初に何をするかを決められるように整理します。
税理士の集客方法と、自事務所に合う選び方
集客方法は、相談してほしい人に届くか、費用と作業時間をかけ続けられるかで選びます。問い合わせが増えても、受けられない業務ばかりだったり、対応が追いつかなかったりすれば、顧問先は増やしにくくなります。
費用・手間・相談相手から集客方法を比べる
主な方法を、この記事では次のように整理します。必要な費用は外注の範囲やサービスによって異なるため、金額だけでなく、所長や職員が担当する作業も合わせて比べてください。
方法 | 向いている場面 | 費用・手間 | 最初にやること |
|---|---|---|---|
ホームページ・検索からの集客 | 得意分野や地域を指定して税理士を探す人に見つけてもらいたい | 制作・改善・情報更新が必要。検索からの相談を育てるには時間もかかる | 受けたい相談のページに、支援内容・費用・相談方法をそろえる |
Googleマップ | 近くで相談できる税理士を探す人に知ってもらいたい | 事務所情報の登録・確認・更新を続ける | Googleビジネスプロフィールの住所・営業時間・連絡先を確認する |
Web広告 | 受けたい業務を絞り、相談の入口を増やしたい | 広告費と運用・改善の手間がかかる | 対象の相談と対応地域、使える予算、案内先ページを決める |
税理士紹介サービス | 税理士を探している人と接点を持ちたい | 手数料などの契約条件と、面談・見積もりの負担を確認する | 紹介される顧客層、費用が発生する条件、自事務所の受け入れ条件を照らす |
顧問先・知人・他社からの紹介 | 相手が困りごとを把握した段階で相談につなげたい | 相手探し、説明、紹介後の報告、関係づくりに時間を使う | 紹介してほしい相談を具体的に伝える |
セミナー・勉強会 | 創業や経理の悩みを持つ経営者に、話を聞いてもらいたい | 企画・集客・資料作成・開催後の対応が必要 | 対象者とテーマを絞り、希望者の個別相談を受ける方法を用意する |
広告は、問い合わせ後に面談や提案へ進める体制があってこそ活用しやすくなります。紹介サービスも、得意分野に合う相談があるかを確認して選びましょう。SNSを使う場合は、受けたい相談に関係する発信を続け、支援内容を確認できるページへ案内します。
事務所の状況に合わせて最初の一手を選ぶ
開業直後で顧問先が少ない場合は、事務所の案内ページを整え、以前からの知人や同業者、創業支援に関わる相手へ、開業したことと受けたい相談を伝えるところから始めます。知人が少なければ、紹介サービスや地域の事業者との接点づくりも候補です。検索流入の成長だけを待つ計画にしないことが大切です。
既存の顧問先はいるが、紹介が増えない場合は、紹介してほしい人の説明を見直します。「税理士を探している人」より、「会社設立後の経理を誰に任せるか決まっていない人」の方が、相手は具体的な顔を思い浮かべやすくなります。そのうえで、同じ相談に接する企業や士業へ紹介元を広げます。
ホームページへの訪問はあるが相談が少ない場合は、広告を増やす前に、支援内容、費用、相談の流れを確認します。初回相談で何が分かるか、費用がかかるか、どこから予約するかを読み取れなければ、訪問者が判断しにくいためです。
まずは自事務所に近い状況を一つ選び、その改善に着手しましょう。相談を受けるたびに「知ったきっかけ・相談内容・契約の結果」を記録すると、次に力を入れる方法を判断できます。
創業・顧問変更・経理の悩みから、増やしたい相談を考える
同じ「税理士を探している人」でも、初めて依頼する人と、今の契約を見直したい人では知りたいことが違います。ここでは、顧問契約につながる相談の入口を三つに分けて考えます。
創業・会社設立では、最初の経理から相談に乗る
創業直後の経営者には、売上や経費をどう記録するか、会計ソフトをどう使うか、申告までに何を準備するかなど、経理の始め方を相談できる相手が必要になる場面があります。
この層を増やしたい事務所なら、「創業支援に強い」という説明に加えて、開業後に事業主がすることと、事務所へ任せられることを示します。例えば、資料の渡し方を決める、会計ソフトへの入力を確認する、毎月の数字を一緒に見る、といった支援です。
会社設立の登記を扱う司法書士や、創業相談を受ける支援会社は、紹介相手の候補になります。登記の相談を受けた段階で税理士が決まっていない人に、設立後の経理・税務の相談先を案内してもらう流れを考えられます。
顧問税理士の変更では、見直したい理由を確かめる
すでに税理士と契約している経営者には、今の契約を変えたい理由が必要です。例えば、相談の機会を増やしたい、毎月の数字を早く把握したい、使っている会計ソフトに合わせて経理を進めたい、といった希望です。
変更を検討する人に向けたページでは、面談の頻度、担当者との連絡方法、会計データの受け渡しなど、自事務所の進め方を示します。「親身に対応します」という言葉だけでは、今の状況がどう変わるかを判断できません。
初回相談では、現在の契約内容と希望を確認します。追加の支援や経理作業の見直しで解決できる場合もあるため、契約変更が必要かどうかから整理すると、相談者が選びやすくなります。
経理の負担が増えた会社には、毎月の支援内容を示す
事業が伸びて、請求書や経費の処理が増えた会社も相談の対象です。ただし、入力作業を任せたいのか、数字を確認して経営の相談をしたいのかで、必要な支援は変わります。
例えば、経理代行会社が日々の入力を担い、税理士事務所が会計処理の確認と税務相談を担う進め方があります。反対に、自事務所で記帳まで受けるなら、その範囲と費用を明確にします。会計ソフトの導入支援会社とも、導入後に誰が入力・確認・相談対応を担うかを話し合えます。
得意業種も、この支援内容と結び付けて伝えましょう。「IT企業に対応」だけでなく、「案件ごとの請求と毎月の入金を整理し、数字を把握するところから支援する」のように、実際に提供できる仕事を説明すると相談しやすくなります。
ホームページから相談につなげるために伝えること
ホームページは、検索で新しい相談者に見つけてもらう入口であり、紹介された人が事務所を確かめる場所でもあります。税務コラムを増やす前に、依頼を検討する人が判断できる情報をそろえましょう。
得意な顧客と、顧問料に含まれる仕事を具体的に示す
創業直後の法人、経理担当者がいない小規模企業、会計ソフトを自社で使いたい個人事業主など、得意な顧客を示します。そのうえで、記帳、毎月の数字の確認、税務相談、決算申告のうち、どの仕事をどこまで支援するか説明します。
料金は、月額の顧問料だけで判断させないことが大切です。自事務所の実際の契約に合わせて、次を分けて記載します。
- 毎月の顧問料に含まれる仕事
- 決算申告、記帳代行、年末調整など、別料金になる仕事
- 売上規模や取引量、依頼する作業によって見積もりが変わる条件
- 面談頻度、連絡方法、担当者、対応する会計ソフト
金額を一律に表示できない場合も、見積もりに必要な情報と、費用が変わる理由は伝えられます。
相談から契約までの流れを見せる
問い合わせ、初回相談、支援内容と見積もりの提示、契約・引き継ぎまでの流れを載せます。初回相談の費用、相談できる範囲、事前に用意すると話が進む資料も、自事務所の運用に合わせて明記してください。
顧問税理士の変更を扱うなら、現在の契約や手元の資料を確認してから、支援開始の時期と引き継ぎを相談することも示します。すぐ契約を決める必要があるような案内にせず、相談者が何を確認できる場なのかを伝えます。
最後に、スマートフォンで相談ページを開き、問い合わせ先を見つけられるか、フォームの入力と送信ができるかを試しましょう。電話で受ける場合も、受付時間が分かる状態にします。
検索やGoogleマップから相談ページへ案内する
検索からの集客では、「地域名と税理士」「会社設立後の税務相談」「顧問税理士の変更」など、受けたい相談に合うページを用意します。相談者の疑問に答え、その仕事を依頼できるか判断できる内容にします。地域名だけを変えた、同じ内容のページを増やす必要はありません。
Googleマップについては、Googleビジネスプロフィールという、事務所の所在地や連絡先などを管理するサービスを確認します。Googleは、ビジネスプロフィールの情報を充実させ、正確で最新の状態に保つことを案内しています。Googleの公式案内
住所・営業時間・電話番号・サイトのリンク先を確認し、訪問した人が支援内容や相談方法へ進めるようにします。遠方の顧問先をオンラインで支援したい事務所なら、地域情報に加えて、オンラインでの面談や資料共有の方法を説明しましょう。
顧問先や他社から紹介を増やす具体的な方法
紹介を増やすには、受けたい相談を知っている相手と出会い、その相談が出たときに思い出してもらうことが必要です。ここでいう紹介パートナーは、顧客に必要な専門家として、自事務所を紹介してくれる企業や士業を指します。
受けたい相談に接している企業や士業を探す
既存の顧問先や知人に加えて、同じ経営者を別の仕事で支えている相手を探します。この記事では、候補と協力の仕方を次のように整理します。
受けたい相談 | 紹介相手の候補 | 協力の仕方の例 |
|---|---|---|
会社設立後の経理・税務 | 司法書士、創業支援会社 | 設立相談から経理・税務の相談先へ案内する。税理士側も登記が必要な相談をつなぐ |
顧問契約や毎月の相談の見直し | 経営支援会社、経営者仲間 | 本人が見直しを希望している場合に、相談内容に合う税理士を紹介する |
経理作業の負担や会計ソフトの運用 | 経理代行会社、会計ソフトの導入支援会社 | 入力・確認・税務相談の担当を分け、必要な支援を一緒に提案する |
事業拡大に伴う数字の把握 | 社労士、経営支援会社 | 採用や組織拡大の相談をきっかけに、経理体制や収支の確認が必要な場合につなぐ |
相続税の相談 | 相続を扱う司法書士、不動産会社 | 登記や不動産の相談で税務の確認が必要になったときに案内する |
最初の面談では、相手がどんな顧客から、どんな相談を受けているかを聞きます。自事務所へ紹介してもらうことに加え、相手が困っている相談をどう支えられるかも話しましょう。
すでに顧問税理士がいる顧客については、本人が何を求めているかを確かめます。担当する専門家同士の役割分担で解決できる相談もあるため、紹介をすべて顧問変更へ結び付ける必要はありません。
紹介したい顧客の認識がずれるときは、パートナー同士で共通の顧客像を作る方法も参考になります。
紹介してほしい場面を、相手が使える言葉で伝える
「顧問先を増やしたいので紹介してください」だけでは、相手が誰に声をかければよいか迷います。対応する業務、相談が必要になる場面、紹介後の最初の対応を短く伝えます。
例えば、会社設立を扱う司法書士へ伝える文例は、次のように作れます。実際に提供している支援内容に合わせて調整してください。
会社設立を相談されている方で、設立後の経理や税務を誰に頼むか決まっていない方がいれば、ご相談いただけます。初回に状況を伺い、会計ソフトへの入力を自分で進めるか、記帳を任せたいかも含めて、必要な支援を整理します。
既存顧問先へ紹介をお願いする文例なら、次のように相談場面を絞ります。
お知り合いに、顧問税理士への相談回数や経理の進め方を見直したい方がいらっしゃれば、当事務所の相談ページをご案内いただけると助かります。まずはご本人の希望と現在の契約内容を伺い、当事務所で対応できることをお伝えします。
紹介する相手には、対応業務、地域・オンライン対応、初回相談の費用と予約方法をまとめた短い案内を渡します。口頭の説明をそのまま再現してもらう負担を減らせます。
紹介後の報告と情報提供で関係を続ける
紹介を受けた後は、相談者と紹介者の双方が安心して次へ進めるようにします。
- 相談者本人の了解を得て、連絡先と共有してよい相談内容を確認する。
- 税理士事務所から連絡し、相談内容と面談日時を決める。
- 紹介者へお礼を伝え、相談者が了承した範囲で、面談につながったことなどを報告する。
- 紹介された相談が得意な業務と合っていたかを振り返り、次に紹介してほしい場面を共有する。
継続的な連絡では、「紹介はありませんか」だけを繰り返さず、相手の顧客に役立つ情報を届けます。創業支援会社には開業後の経理準備、経理代行会社には資料の受け渡し方など、相手が顧客との会話で使える話題を選びます。共同で勉強会を開く場合も、対象者の困りごとを一つに絞り、希望者の個別相談へつなぎます。
紹介が止まっている場合の見直し方は、紹介営業が増えないときの原因と改善方法で詳しく解説しています。
初回相談から顧問契約につなげるために確認すること
相談を顧問契約につなげるには、依頼者が困っていることと、事務所が継続して支援する内容を合わせます。毎月何を任せられるのかが具体的になると、費用をかける理由も伝わります。
今回だけの依頼か、継続的な支援が必要かを分ける
初回相談では、必要な手続きや期限に加え、その後の経理を誰が進める予定かを聞きます。決算申告だけを頼みたいのか、毎月の記帳や税務相談も必要なのかによって、提案は変わります。
例えば、事業主が自分で会計ソフトへ入力したい場合は、入力の確認と定期的な相談を中心に提案する方法があります。経理担当者がいない場合は、どの資料をいつ渡してもらい、誰が入力するかから決める必要があります。
相続税の申告など今回の依頼で完了する仕事は、その業務の範囲と費用を提示します。顧問契約を提案するのは、継続して必要な支援を説明できる場合です。
支援範囲と年間の費用をそろえて提案する
見積もりの前に、次の項目を確認しておくと、依頼者の期待と事務所の対応がずれにくくなります。
- 相談のきっかけ、希望する支援、対応が必要な期限を確認した
- 現在の契約と経理体制、使用中の会計ソフト、資料の状況を確認した
- 記帳、確認、申告、相談のうち、事務所と依頼者がそれぞれ担当する仕事を決めた
- 面談頻度、連絡方法、担当者、支援開始の時期を伝えた
- 毎月の顧問料と別料金の仕事を分け、想定される年間費用を説明した
- 顧問変更の場合は、既存契約と引き継ぎに必要な確認事項を整理した
提案では、「毎月相談できます」に加えて、「毎月の数字を確認する面談を設ける」「資料の不足を確認し、決算前に慌てないよう準備を進める」など、自事務所が実際に行う支援を伝えます。
契約に至らなかった場合も、理由を記録しましょう。費用、依頼したい仕事、対応時期のどこが合わなかったかを振り返ると、集客で伝える内容や紹介依頼の説明を直せます。相談件数だけでなく、受けたい相談が来ているか、契約後も無理なく支援できるかまで見ることが、次の顧問先獲得につながります。
紹介元の開拓と継続的な関係づくりを支えるSparkLabo
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例えば、創業時の顧問契約を増やしたいなら、会社設立や創業相談に関わる相手との接点を考えます。経理体制の改善を支援したいなら、経理代行や会計ソフトの導入を支援する相手と、どの仕事を分担できるかを整理します。候補探しから相談できるため、自分の知人だけでは会えなかった相手にも出会う機会を作れます。
パートナー候補の紹介は、月2〜5社が目安です。これは、顧問先の紹介件数ではなく、紹介や協業の相手となる候補との接点数です。出会った後も、紹介してほしい相談の伝え方、共同の取り組み、月ごとの振り返りと改善を支援します。
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