SNS運用の実績があっても、案件が代理店からの下請けや自社アカウント経由の偶発的な相談だけでは、契約終了のたびに稼働が空きます。必要なのは営業手段を増やすことより、自社が価値を出せる法人案件を定義し、複数の入口を役割分担させることです。
この記事の結論
SNS運用代行の法人案件を増やすには、まず得意な業界、解決する課題、担う運用範囲を決めます。自社SNSは専門性の確認、代理店案件は稼働獲得、紹介・協業は信頼ある新規接点に使い、制作・採用・PR・EC支援会社と相談の兆しを共有して、小さな共同提案から継続案件のルートを作ります。
ここでいう継続案件とは、投稿作業が終わらない契約ではありません。顧客の目的、運用範囲、確認方法が合い、一定期間の改善を双方が続ける意味のある契約です。
受けたい法人案件は課題と運用範囲から定義する
「SNS運用なら何でも対応」では、顧客も紹介者も自社に合う相談を判断できません。媒体や投稿本数より先に、どの法人課題を解決する運用に強いかを決めます。
得意業界より先に解決する課題を一つ選ぶ
同じ業界でも、採用候補者への認知、店舗への来店、企業広報、ECの購入検討では、企画も社内連携も違います。最初は次の形で一文にします。
どの企業の、どの課題に対し、SNSをどの役割で使うか
たとえば「採用に苦戦する地域企業へ、社員や仕事の理解を深める継続発信を支援する」のようにします。フォロワー数だけを約束せず、顧客の事業課題とSNSの役割をつなげることが重要です。
運用範囲と顧客側の役割を明確にする
提案前に、次の四点をそろえます。
- 自社が担う範囲:企画、取材、撮影、制作、投稿、分析、改善提案
- 顧客が担う範囲:素材提供、事実確認、承認、社内調整
- 定例で確認すること:投稿実績、反応、問い合わせの質、次の仮説
- 見直し条件:目的変更、素材不足、承認遅延、対象媒体の変更
範囲が曖昧なまま受注すると、追加作業が増え、顧客も期待とのずれを感じます。案件獲得の前に運用条件を明確にすることが、継続しやすい契約の入口です。
自社SNS・代理店案件・紹介・協業は役割で使い分ける
一つの経路だけをやめる必要はありません。それぞれの強みと依存リスクを理解し、役割を決めます。
経路 | 主な役割 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
自社SNS・Web | 専門性と事例の確認 | 運用の考え方を継続して示せる | 発信量だけで案件化を判断しない |
代理店案件 | 稼働獲得と案件経験 | 既存の営業網から相談を得やすい | 顧客情報や条件を自社で管理できない場合がある |
既存顧客・知人の紹介 | 信頼ある初回接点 | 背景を理解した会話から始めやすい | 一部の紹介元へ依存しない |
補完企業との協業 | 直接案件の新しい入口 | 発注前の課題から共同提案できる | 対象顧客と役割を定期的に更新する |
自社SNSは営業資料として使う
自社SNSの目的を、毎日問い合わせを生むことだけに置かないようにします。紹介後に得意分野を確認する、提案前に運用方針を理解する、既存顧客が別部署へ説明するための営業資料としても機能します。
実績を出すときは、顧客の許可範囲を守り、数字だけでなく、どの課題にどの運用をしたかを示します。
代理店案件は稼働と顧客理解を得る経路にする
代理店案件は、営業負担を抑えて稼働を得たり、多様な案件経験を積んだりできる経路です。一方、発注条件の変更が自社だけでは決められないこともあります。
代理店案件を否定せず、売上、粗利、顧客情報、実績公開の可否、契約終了時の影響を確認し、直接案件や協業案件と配分します。
紹介・協業は信頼ある直接案件の入口にする
紹介では「SNSで困っている会社を紹介してください」では対象が広すぎます。解決する課題、企業の状態、初回相談で確認する内容を短く伝えます。
紹介が増えないときの確認項目は、紹介営業が増えないときに見直す原因と準備でも詳しく解説しています。
補完企業とは発注前の相談の兆しから案件ルートを作る
SNS運用の発注が決まってから営業すると、複数社との価格比較になりやすくなります。補完企業との協業では、その前に起きる相談を捉えます。
相手が先に聞く課題を整理する
補完企業ごとに、先に把握しやすい相談が違います。
- Web制作会社:サイト更新と合わせて情報発信も整えたい
- 採用支援会社:応募前の企業理解を深めたい
- PR会社:発表後も継続して情報を届けたい
- EC支援会社:商品理解や再訪の接点を増やしたい
- 店舗支援会社:来店前後の顧客接点を整えたい
相手のサービスを置き換えるのではなく、顧客課題を補完する関係を作ります。共同顧客像のそろえ方は、パートナー同士で共通顧客像を作る方法が参考になります。
最初は一社一テーマの共同提案にする
最初から包括的な提携契約を作る必要はありません。一社と一つの顧客課題を選び、次のどれかを試します。
- 顧客へ互いの支援範囲を説明できる一枚資料を作る
- 初回相談へ同席し、課題と役割を切り分ける
- 既存顧客向けに短い相談会や勉強会を共同開催する
- 一つの案件で、制作と運用の共同提案を作る
実際の支援では、競合が多く価格比較になりやすかったマーケティング支援企業に対し、Web・システム開発会社、補助金・営業支援会社、EC・美容・小売との接点を持つ相手との協業を設計しました。3か月以内に月額30万円の実契約1件につながり、年換算では360万円の売上ルートになりました。これはSNS運用代行だけの成果を示す事例ではありませんが、継続型のマーケティング支援が価格比較以外の流入経路を作った実例です。
受託型企業が補完企業と案件ルートを作る全体像は、受託開発の新規開拓方法も補足になります。
契約終了で稼働が空かないよう案件獲得を定例化する
営業は空きが出てから始めるのではなく、運用案件と同じように定例化します。案件数だけでなく、開始可能時期と将来の稼働を見ます。
案件の状態と将来の稼働を同じ表で見る
最低限、次の状態を毎週確認します。
- 初回接点前
- 課題確認中
- 提案準備中
- 相手社内で検討中
- 開始時期調整中
- 見送り・再連絡時期
同じ表に、既存案件の更新確認月と終了予定も置きます。見込み案件だけを増やすのではなく、いつ、どの運用範囲なら受けられるかを判断します。
紹介後の報告と事例共有を続ける
協業先には、顧客の秘密を守る範囲で、接点をつないだことへのお礼、相談が進んだか、次にどのような企業が合うかを共有します。紹介が案件化しなかった場合も、対象のずれを振り返る材料になります。
30日で一つの案件ルートを試す
最初の30日は、得意な課題を一つに絞り、補完企業を10社程度洗い出し、そのうち一社と情報交換するところまで進めます。相手へ顧客紹介を迫るのではなく、互いが先に聞く相談と支援範囲を確認します。
SparkLaboでは、SNS運用代行会社の得意業界・法人課題・運用範囲を整理し、制作会社・採用支援会社・PR会社・EC支援会社などの候補探索、関係づくり、紹介・共同提案、振り返りまで支援しています。代理店下請けや自社SNSだけに依存しない継続案件のルートを作りたい場合は、自社に合う一つ目の協業先から相談できます。
