受託開発の新規開拓|案件獲得と紹介を増やす営業の仕組み

開発案件が途切れる、紹介を待つしかない、見積もりで終わる。受託開発会社の悩みを整理し、自社に合う営業方法と、紹介元を増やして相談・受注につなげる手順を解説します。

目次

開発に追われている間は営業が止まり、納品が近づくと次の案件がない。知人に紹介を頼んでも、いつ相談が来るか分からない。ようやく問い合わせがあっても、予算や得意領域が合わず、見積もりだけで終わってしまう。

こうした受託開発会社の新規開拓では、接触する企業数を増やす前に、営業が止まっている箇所を見分ける必要があります。この記事では、顧客から開発の仕事を受ける会社を対象に、新規相談を増やす方法と、紹介を継続的な案件獲得につなげる手順を説明します。

この記事の結論

受託開発の新規開拓は、受けたい案件と営業上の課題を整理したうえで、顧客の業務課題を先に聞く企業と紹介条件・役割・報告方法を共有し、接点づくりから紹介後の対応まで継続して改善することで仕組みにできます。

受託開発の新規開拓は、案件が増えない原因から見直す

まず、直近の問い合わせや商談を振り返ります。この記事では実務上、見込み顧客との接点を作る「リード獲得」と、具体的な課題を確認して提案・受注へ進む「案件獲得」を分けて考えます。名刺や問い合わせが増えても、開発の相談へ進まなければ受注の見通しは立ちません。

相談が少ないのか、相談から受注へ進まないのか

次の表で、自社に最も近い状態を一つ選んでください。最初からすべての営業施策を増やすより、止まっている箇所に作業を絞れます。

今の状態

最初に確かめること

優先して変えること

新規相談がほとんどない

既存顧客・代表の知人以外に接点があるか

対象企業への営業か、新しい紹介元の開拓を始める

相談は来るが、予算や内容が合わない

得意な課題・規模・開始時期を伝えているか

受けたい案件と対応外の条件を営業先・紹介元に共有する

商談はあるが、見積もり後に止まる

開発目的、優先度、判断する人が分かっているか

金額提示の前に、必要性と次の判断事項をそろえる

受注すると次案件の準備が止まる

誰が見込み客や紹介元へ連絡するか

担当と次回連絡日を決め、納品中も接点を保つ

例えば、毎回予算が合わない相談が来るなら、広告や紹介先を増やす前に、対応できる開発範囲を見直します。反対に、相談が来れば提案できるのに入口が少ないなら、新しい接点づくりが優先です。

営業と納品を兼務する体制自体が限界なら、代表・PM・エンジニアの役割を分ける方法で、社内の分担を具体化できます。

受けたい案件を顧客の困りごとで説明する

営業先を選ぶ基準は、自社が利益を残しながら責任を持って提供できる仕事です。過去の案件から、得意な業務、開発規模、担当できる工程、必要な体制を整理します。新規取引が少ない会社なら、公開できる範囲の実務経験や試作を使い、実績と提案段階の内容を分けて伝えます。

「Webシステムを開発できます」だけでは、相手は相談する場面を思い浮かべにくくなります。「拠点ごとにExcelへ入力している受発注を、まとめて管理できるようにする」のように、顧客の困りごとと支援内容をつなげてください。

受けたい案件と併せて、対応できない短納期や技術領域、相談が必要な予算規模も決めます。紹介元にもこの境界が伝われば、開発会社と顧客の双方に合う相談を選びやすくなります。

案件獲得の方法は、欲しい相談と使える時間で選ぶ

新規開拓には、対象企業へ自分から連絡する方法、検索や事例発信で見つけてもらう方法、信頼関係のある相手から紹介してもらう方法があります。どれを使うかは、欲しい案件と、商談・提案に割ける時間で決めます。

方法

作れる接点

向いている状況

自社で必要な作業

対象企業への個別営業

狙った業種・企業の担当者

誰のどんな課題を解決するかが明確

企業調査、連絡理由の作成、返答後の課題確認

開発事例・記事・検索からの問い合わせ

課題や開発会社を調べている人

得意領域と判断材料を継続して発信できる

事例の整理、発信、問い合わせ対応

受発注マッチングサービス

開発を検討している発注者

対象案件を選び、提案する余力がある

条件と費用の確認、案件選別、提案

既存顧客・協業先からの紹介

相手が関係を持つ顧客や取引先

顧客が開発会社を探す前の相談にも対応したい

紹介元の開拓、相談条件の共有、紹介後の報告

当面の相談を増やしたいなら、過去に話した見込み客への再連絡や、課題が具体的な企業への個別営業から着手できます。受発注サービスを使う場合は、参加費用だけでなく、提案工数と受注後に残る利益まで確認してください。PRONIアイミツ・発注ナビ・比較ビズの受注側比較では、具体的な選び方を扱っています。

一方、知人からの単発紹介に依存している会社は、自社の顧客が普段相談している企業との関係を増やす余地があります。例えば業務改善の相談中に開発が必要になったとき、その支援会社から声がかかる関係です。顧客が困っている背景を引き継いで話せることが、この方法の利点です。

紹介元との関係づくりにも時間はかかります。直近の売上を作る営業を続けながら、次の案件につながる紹介元を育てる枠を持ちます。

紹介元は、開発が必要になる前の相談先から探す

紹介元とは、自社の仕事が必要な顧客を紹介してくれる相手です。候補を考えるときは「経営者の知り合いが多いか」だけでなく、「自社が解決できる困りごとを、普段誰が聞いているか」を見ます。

業務課題を先に聞く企業と補い合う

次は、紹介元を考えるための組み合わせ例です。同じ業種でも担当顧客や支援範囲は異なるため、実際の面談で確かめます。

紹介元の候補

顧客から聞く相談の例

開発会社が担えること

相手にとっての利点

DX・業務改善コンサル

業務の見直し後、既存ツールでは実現できない

個別機能の設計・開発

改善案を実装まで進められる

BPOなど業務を代行する会社

二重入力や集計が増え、手作業では追いつかない

データ連携や入力作業の自動化

運用の負担を減らし、必要な業務支援へ集中できる

Web・マーケティング支援会社

サイトの申込情報と社内業務がつながっていない

会員機能や受発注システムとの連携

集客後の業務まで含めた提案ができる

税理士など企業の管理課題に接する専門家

拠点が増え、集計や承認に手間がかかる

管理業務を支える仕組みの開発

専門領域だけでは解決できない相談先を持てる

他の開発会社・業務ソフト導入支援会社

自社の対応外の技術や追加機能が必要

得意領域を分担して開発

対応外の相談も顧客に合う形でつなげられる

例えばBPO会社にとって、開発会社への紹介が自社の仕事を一方的に減らす提案なら、協力する理由がありません。自動化する作業と人が担う運用を分け、顧客への支援をどう続けるかまで話します。紹介を頼む前に、相手の仕事と利益を理解することが必要です。

候補を探し、最初の面談で協業の余地を確かめる

まず既存顧客が利用している支援会社、過去に一緒に仕事をした会社、名刺交換後に連絡していない相手を確認します。接点がなければ、同じ顧客層を支援する会社の公開事例やサービス内容を調べ、事業上の接点がある候補へ連絡します。業界の勉強会や経営者同士の場も、相手の支援内容を知る入口になります。

最初の面談では、相手の顧客にどんな相談があるか、そのうち自社だけでは対応しにくいものは何かを聞きます。その後で、自社が補える範囲を伝えます。「今すぐ案件をください」から入るより、共通の顧客へ一緒に何を提供できるかを話せます。

顧客層が合わない、開発相談が出ない、分担できる仕事がない場合は、紹介元として追い続ける必要はありません。最初は、一つの相談場面を共有できる相手を選びます。

紹介してほしい場面と、初回相談の進め方を決める

相手が協業に関心を持っても、「何かあれば紹介してください」で終えると動けません。どんな困りごとを聞いたら、誰につなぎ、紹介後に何をするのかを具体化します。

会社紹介を、顧客に渡せる短い紹介文へ変える

紹介文には、顧客の状態、自社が手伝えること、最初の相談内容を入れます。次は、受発注業務の開発を得意とする会社を想定した記入例です。実際に提供できる範囲へ書き換えて使います。

この文に加えて、相談窓口、対応地域、開始可能時期、初回相談の費用・範囲を共有します。顧客へ説明する役割と、技術や見積もりを判断する役割も分けます。技術に詳しくない紹介者へ、要件の整理や見積もりまで任せる必要はありません。

初回相談では、課題と次に決めることをそろえる

紹介後は、顧客が何を期待して会うのかを先に確認します。初回の会話では、困っている作業、今の対応方法、影響を受ける部署、改善したい時期、予算の考え方を聞きます。費用や優先度を判断する人が誰かも押さえます。

要件が曖昧なまま本開発の金額を出すと、後から範囲が変わりやすくなります。情報が不足していれば、次回は業務担当者を交えた確認、技術調査、小規模な試作などを提案します。有償で進める作業は、内容と費用を合意してから着手します。

相談の最後には「誰が何を確認し、いつ次の判断をするか」を決めます。開発が不要、または自社に合わない場合は、その理由を伝えて終了できます。紹介後の連絡や報告を詳しく整えたい場合は、紹介を受けた後のフォロー手順も参考になります。

紹介を継続させるために、報告と次回連絡を営業予定に入れる

紹介の再現性とは、毎月同じ件数の受注が発生することではなく、紹介元との接点づくり、相談条件の共有、紹介後の対応を継続・改善できる状態です。代表の記憶だけに任せず、担当と予定を残します。

紹介元には結果と次の相談条件を返す

紹介を受けたら、面談できたか、次の話が進んでいるかを、顧客と合意した共有範囲で紹介元へ返します。成約したときだけでなく、対象外だった場合も「今回の規模では当社の開発が合わなかった」など、次の紹介に役立つ情報を伝えます。

案件がない時期には、相手の顧客へ役立つ業務改善の説明や、紹介しやすい相談例を共有します。次回連絡の時期を相手と決め、同じ催促を繰り返さないようにします。紹介元が抱える相談を聞き、自社からつなげられる相手や情報があれば返すことも関係の継続に役立ちます。

最初の一社で試し、相談から受注までを振り返る

最初の取り組みは、次の順で進められます。件数は営業目標の例であり、成果の目安ではありません。

  1. 受けたい開発案件を一つ選び、顧客の困りごとと対応外の条件を書く。
  2. その困りごとを聞く紹介元候補を探し、一社と双方が提供できることを話す。
  3. 紹介文、顧客の意向確認、相談窓口、紹介後の報告方法を合意する。
  4. 案件があれば初回相談へ進む。なければ顧客向けの情報共有など、試す活動と次回連絡日を決める。
  5. 合う相談が来たか、提案に進んだか、受注したかを確認し、条件や進め方を一つ直す。

管理表には「紹介元/紹介してほしい相談/直近の接点/相談・提案・受注の状況/次の行動/担当/期限」を一行で残します。面談した企業数だけを増やさず、相談が出ないなら紹介場面、相談はあるが合わないなら対象条件、提案後に止まるなら判断材料を見直します。

納品後の追加開発や保守を増やす方法は、受託開発を単発で終わらせないフォローで扱っています。新規の紹介元づくりと、既存顧客への追加提案を分けて管理すると、どちらが不足しているか見えます。

開発2件・保守1件につながったSparkLaboの顧客事例

SparkLaboが支援したシステム開発企業では、新規の開発案件に加え、保守契約にもつながりました。

開発2件・保守1件システム開発企業の5か月の成果見込売上450万円

支援前は既存の紹介に依存し、新規案件を増やす仕組みが不足していました。SparkLaboでは、DXコンサル、補助金支援、Web・マーケティング会社、士業・BPO企業との協業を提案しました。

この事例から、自社へ発注する企業だけでなく、顧客の課題を先に聞く支援会社へ接点を広げるという選択肢が見えてきます。

紹介元の開拓と運用をSparkLaboに任せられる範囲

紹介元を増やしたくても、開発会社の代表が候補探し、面談、紹介後の連絡まで抱えると、納品が忙しい時期に止まりがちです。候補探しと継続運用を進める手が足りない会社には、SparkLaboが向いています。

SparkLaboは、紹介営業や他社との協業を、継続して案件機会が生まれる仕組みにするサービスです。5,000社以上との直接接点を土台に、自社の人脈の外へ紹介・協業候補を探せます。候補の探索・紹介に加え、紹介などの施策の企画・運営、月次の振り返りと改善まで支援します。

何を強みにするか、どの案件を増やすかが決まっていない段階でも相談できます。コンサルタントが現状や希望を聞き、課題整理と紹介を増やす戦略づくりから一緒に進めます。自社は技術面の判断や顧客への提案を担いながら、紹介元づくりを進められます。

執筆者

樫根 久澄のプロフィール写真

樫根 久澄

株式会社SparkNow 代表取締役CEO/SparkLabo運営

早稲田大学政治経済学部卒業。双日株式会社でファイナンス業務に従事後、エンジニアに転身し、システム開発会社の海外拠点代表を務める。2022年にオンライン診療スタートアップを創業し、売却を経験。

BtoB事業の顧客開拓のため、30の経営者コミュニティに入会・参加し、経営者交流会には1,000回以上参加。20以上のアポイント獲得サービスを利用し、累計2万枚のデジタル名刺を自ら配布。こうした実践を通じて、出会いを継続的な案件獲得につなげる難しさを実感し、企業同士の紹介・協業を通じたパートナーセールスを支援する「SparkLabo」を立ち上げる。SparkLaboでは、経営者交流会・会食の開催・共催を100回以上重ねている。