経営者交流会の自己紹介例文|30秒・1分の原稿の作り方

何の会社か伝わらない、説明が長くなる経営者向けに、自己紹介の原稿を作る手順を解説。受託開発・税理士・営業支援の時間別全文例、情報の削り方、実績が少ない場合の伝え方、音読での確認方法を紹介します。

目次

会社の説明をしたのに、「結局、何をされている会社ですか」と聞かれる。短く話そうとすると、「コンサルです」「システム開発です」だけになる。経営者交流会の自己紹介では、事業名に加えて、どんな相談で役に立てるかを伝えると、相手が自分の仕事との関係を考えられます。

この記事では、参加前や次回参加に向けて、自己紹介の原稿を作る方法を扱います。受託開発・税理士・営業支援の全文例を、自社の仕事に置き換えながら進めてください。

この記事の結論

経営者交流会の自己紹介は、会社名・氏名に続けて「誰のどんな困りごとを、何をして支援するか」と「今日話したい相手・テーマ」をまとめ、30秒版を先に作り、1分版には仕事の進め方や具体例を一つ足して、音読で持ち時間に収めます。

自己紹介は一つの顧客像と困りごとから組み立てる

最初に決めるのは、今回、誰のどんな相談に対応する会社として覚えてもらいたいかです。その答えを短い原稿にし、説明を一つ加えて1分版を作ります。最後に両方を声に出して、指定時間に合うよう直します。

経営者交流会では、相手自身が顧客になることもあれば、その人の顧客を紹介してもらったり、一緒に顧客を支援したりする関係も考えられます。そのため、「何でもできます」より、どんな人のどんな相談を手伝えるかが分かる説明を用意します。

SparkLaboには、100回以上の経営者交流会開催経験があります。場で出会った人が、その後も自社の仕事を思い出せるように、この記事では原稿を次の順番で作る方法を提案します。

  1. 今回取り上げる顧客を一つ選ぶ。例として「複数店舗を持つ小売企業」のように、実際に支援できる相手を書く。
  2. その顧客の困りごとを一つ選ぶ。「業務効率化」より「店舗ごとの売上を手作業で集計している」と、仕事の場面で書く。
  3. 自社がする仕事を結び付ける。「売上データをまとめて確認できるシステムを作る」のように、頼める作業を示す。
  4. 今日話したい相手とテーマを添える。直接の顧客だけでなく、「店舗運営を支援する方と、集計業務の相談について話したい」と書いてもよい。
  5. 会社名・氏名から始まる短い文章にし、30秒版を作る。1分版には進め方や具体例を一つ足し、両方を音読して調整する。

書き出した情報は、次のひな型に入れられます。

[会社名]の[氏名]です。[顧客]の[困りごと]に対して、[自社がする仕事]を提供しています。今日は[話したい相手]と、[話したいテーマ]について情報交換できればと思っています。よろしくお願いします。

「売上を伸ばします」だけでは、広告を出す会社なのか、商談を手伝う会社なのか分かりません。成果として目指すことに加えて、自社が何をするのかを一つ入れるのがポイントです。

自己紹介以外の持ち物や当日の流れも準備したい方は、経営者交流会の初参加ガイドで確認できます。

30秒と1分は説明の具体性を変える

30秒版は「何の相談で役立つか」を伝え、1分版は「どのように支援するか」を一つ具体化します。時間が倍になっても、紹介する事業や話したい相手を倍に増やす必要はありません。

まず主催者から指定された時間と項目を確認します。自由交流では、用意した1分版を最初から最後まで話し切る必要はなく、短い説明で区切り、相手が関心を持ったところを補足します。

30秒版は会社の用途と話したいことに絞る

会社名・氏名、顧客と困りごと、自社がする仕事、今日話したいことを残します。創業の経緯、全サービス、詳しい実績、趣味は、この段階で必要なものだけにします。

たとえば「店舗の売上集計を楽にするシステムを作る」と言えれば、何を頼める会社かは伝わります。対応するプログラミング言語や開発手順は、相手が詳しく知りたいときの説明へ回せます。

1分版は仕事の進め方を一つ足す

30秒版の「自社がする仕事」の後へ、支援の場面、進め方、公開できる実績のどれか一つを加えます。「まず各店舗の集計方法を確認し、必要なデータをそろえてからシステムを作ります」と足すと、最初に何を相談できるかも分かります。

実績を使うなら、今伝えている仕事に関係する一例に絞ります。数字がなくても、「どこから関わり、何を整えるか」は具体的に説明できます。逆に、時間が余ったからと別の事業を足すと、最初の説明がぼやけます。

業種別の全文例を自社の仕事に置き換える

自分の業種に近い例を選び、顧客、困りごと、対応する仕事、話したい相手を置き換えます。以下の社名・人物・支援内容は、原稿を作るための架空の設定です。自社が実際に提供していない仕事や、経験していない実績まで写さないようにしてください。

受託開発会社の例

店舗の売上集計をシステム化する会社が、店舗運営を支援する人と話したい場合の例です。「システムを受託開発しています」を、使う場面から説明しています。

30秒枠用・106字

A社の佐藤です。複数店舗の売上を手作業で集計している会社に、数字をまとめて見られるシステムを作っています。今日は店舗運営を支援する方と、現場の集計業務について情報交換できればと思っています。よろしくお願いします。

1分枠用・216字

A社の佐藤です。複数店舗の売上を手作業で集計している会社に、数字をまとめて見られるシステムを作っています。まず、各店舗からどんなデータが届き、誰がどこへ入力しているかを確認します。そのうえで、手入力を減らせる部分を整理し、必要な機能から開発します。既存の仕組みをどこまで残すかも相談できます。今日は店舗運営を支援する方と、お客さまが集計に困る場面や、システム化を相談されたときの対応について情報交換したいです。よろしくお願いします。

実際の顧客が工場なら「生産状況」、物流会社なら「配送状況」など、自社が扱う業務へ変えます。ただし、業種名だけを入れ替えず、その顧客が何を手作業で行い、自社はどこを作れるのかまで確かめて書き直します。

税理士事務所の例

創業間もない法人の記帳や申告を支援する税理士が、同じ時期の企業と接する人に仕事を伝える例です。「税務全般」のように広くまとめず、顧客が相談する場面を示します。

30秒枠用・117字

B税理士事務所の田中です。創業間もない法人の記帳や税務申告を支援しています。経理が初めての経営者にも、毎月そろえる資料から説明します。今日は創業期の企業を支援する方と、経理で多い相談をお話しできればうれしいです。よろしくお願いします。

1分枠用・217字

B税理士事務所の田中です。創業間もない法人の記帳や税務申告を支援しています。社長が営業と経理を兼ね、領収書や請求書の整理を後回しにしてしまう会社が対象です。最初に、資料がどこにあり、誰が入力しているかを確認します。その後、毎月そろえる資料と受け渡しの方法を決め、決算前にまとめて整理する負担を減らすお手伝いをします。今日は創業期の企業を支援する方と、お客さまが経理のどこで困っているかについて情報交換したいです。よろしくお願いします。

士業は資格名だけを入れ替えず、自分の資格と実際の対応範囲に合う仕事へ書き換えます。顧問業務全体を説明するより、相談の入口となる一つの仕事を選びます。関係する資格や専門外の業務まで「まとめて対応します」と広げる必要はありません。

営業支援会社の例

問い合わせ後の連絡を社長が抱えている企業に、営業対応を支援する会社の例です。集客を担当する会社へ、自社がその後のどの仕事を担えるかを伝えています。

30秒枠用・113字

C社の鈴木です。問い合わせへの連絡が追いつかない会社の営業を支援しています。初回の連絡と日程調整を手伝います。今日は法人向けの集客を支援する方と、問い合わせ後の対応で多い相談をお話しできればうれしいです。よろしくお願いします。

1分枠用・220字

C社の鈴木です。問い合わせへの連絡が追いつかない会社の営業を支援しています。社長が商談も担当していて、初回の連絡や日程調整まで手が回らない場合に、その業務をお手伝いします。最初に、どんな問い合わせを優先し、何を聞いて社内へ渡すかを一緒に決めます。対応した内容を記録し、商談する担当者が状況を分かるように引き継ぎます。今日は法人向けの集客を支援する方と、お客さまから問い合わせ後の対応も相談されるか、情報交換したいです。よろしくお願いします。

自社の主な仕事が営業研修なら、「連絡と日程調整を手伝う」を「商談の進め方を練習する研修」へ変えます。代行、研修、相談支援は相手が頼める仕事が違うので、同じ「営業支援」でも動作が分かる言葉にします。

長い説明は事業一覧より一つの相談場面を残す

原稿が長いときは、先に「誰のどんな困りごとに、何をする会社か」を残し、それ以外を削ります。語尾を短くするだけでなく、伝える事業やエピソードの数を減らすと、早口にせず収められます。

説明を削る前に残す一文を決める

次は、複数の事業を説明しようとして長くなった原稿と、その修正例です。

修正前の例

D社の高橋です。以前は広告会社に勤め、その後独立しました。今はウェブサイト制作、広告運用、動画制作、記事制作、営業資料の制作まで幅広く対応しています。企画から制作まで一貫して対応でき、柔軟で丁寧な支援を大切にしています。業界を問わずいろいろなご相談をお受けしていますので、今日は多くの方とつながれればと思っています。よろしくお願いします。

採用サイトの相談を増やしたい場合の修正例

D社の高橋です。採用で自社の仕事をうまく伝えられない会社に、社員の話を取材して採用サイトを作っています。今日は中小企業の採用を支援する方と、応募前に伝える情報についてお話しできればうれしいです。よろしくお願いします。

残したのは、採用で困っている会社、取材とサイト制作、採用を支援する相手との情報交換です。経歴と別の制作サービスは、今回の相手が仕事を理解するために必須ではないので省きました。「柔軟で丁寧」という評価語も、何をするかが分かる説明に置き換えています。

省いた情報は別のメモへ残せます。相手から聞かれたときに答える材料にすれば、すべてを最初の自己紹介へ詰め込まずに済みます。

複数事業は今日話したい相手に合わせて選ぶ

複数の事業がある場合は、会のテーマや参加者に関係し、自社が具体的に説明できるものから一つ選びます。採用支援の会社と話したい会なら採用サイト、営業責任者と話したい会なら営業資料、というように変えられます。

何を選ぶか迷うなら、実際に相談を受けたとき、最初の対応を説明できる仕事を優先します。「今いちばん売りたい」だけで選ばず、相手が使う場面を想像できるかを確認してください。

趣味や創業の思いも、その会のテーマや自分の仕事を知る手掛かりになるなら一言入れられます。ただし、仕事の説明を削ってまで面白い話を作る必要はありません。全員へ順番に話す場では、「その相談に対応できる人」と分かることを先に整えます。

実績が少ないときは対応できる仕事と進め方を伝える

創業直後や新サービスでは、実績の数を埋める代わりに、今対応できる作業と、最初にどう進めるかを伝えます。「まだ何もありません」と始めなくても、相手が相談できる範囲は説明できます。

たとえば、新たにウェブサイト改善の相談支援を始めた会社なら、次のように書けます。

E社の山本です。法人向けのウェブサイトで、何を載せればよいか迷う会社の情報整理を手伝っています。今は、社長への聞き取りから、掲載する内容とページの構成をまとめる仕事をお受けしています。今日はウェブ制作会社の方と、制作前の情報整理で困ることをお話しできればうれしいです。よろしくお願いします。

この例では、受注件数や成果を主張せず、引き受ける作業を明確にしています。制作そのものまで対応しない場合にも、相手が役割を理解できます。

前職の経験を使うなら、「前職で法人営業を担当していました」のように個人の経験として伝えます。前職の取引先や会社全体の成果を、自社の顧客・実績に置き換えないでください。経験を足す場合も、今回の仕事を任せられる理由につながる一文だけにします。

まだ受託できる段階ではないサービスなら、「現在、提供に向けて準備しており、〇〇で困る場面を伺いたい」と現状を伝えます。完成したサービスとして話すより、情報交換したい内容が分かる原稿にする方が、その日の目的に合います。

声に出して時間と伝わり方を確かめる

原稿の完成は、文字数だけでは判断できません。自分の声で持ち時間に収まるかと、聞いた人が「誰の何を手伝う会社か」を言い直せるかを確かめます。音読は、挨拶や言葉の間も含めて行います。

  1. スマートフォンなどで録音し、相手に話すつもりで最初の名乗りから最後の挨拶まで読む。途中で言い直しても計時を止めない。
  2. 指定時間を超えたら、1分版は追加した説明、30秒版は重複や長い前置きから削る。顧客・困りごと・自社がする仕事を消して帳尻を合わせない。
  3. 文の区切りで間を取り、もう一度読む。急がないと収まらないなら、さらに一文減らす。時間が余っても情報を足す必要はない。
  4. 可能なら自社の業務に詳しくない人に聞いてもらい、「どんな会社が、何に困ったときに相談できそうか」を自分の言葉で答えてもらう。
  5. 聞き手の答えが意図とずれた箇所だけ直し、30秒版と1分版をそれぞれ保存する。

たとえば録音が35秒なら、同じ量を30秒で話す練習だけを繰り返さず、一つの補足を外して再計時します。これは調整方法の例であり、何字削れば5秒短くなると決まっているわけではありません。

「コンサルの会社」としか返ってこない場合は、対象顧客か作業の説明が足りない可能性があります。「店舗の売上集計をシステムにする会社」と返ってくれば、用途まで伝わっています。一人で練習する場合も、録音を聞き直し、会社名だけでなくその用途が耳に残るかを確認します。

最後に、次の項目を一つずつ確かめてください。

  • 会社名・氏名を急がずに言え、最後の挨拶まで指定時間内で終わった
  • 誰のどんな困りごとに、何をする会社かを説明できている
  • 一つの事業や相談場面に絞り、説明のない略語を使っていない
  • 今日話したい相手とテーマが、自社の仕事につながっている
  • 現在提供できる範囲と、実際の経験だけを書いている

当日持つメモは全文に加え、「会社名・顧客・困りごと・する仕事・話したいこと」の要点も残しておくと、言葉を少し変えても説明を続けられます。次回の原稿を直すときは、実際に聞き返された言葉を一つ記録して使います。説明は伝わるのにその後が進まない場合は、経営者交流会で成果が出ない原因の診断で、会う相手や参加後の連絡も確認できます。

自社の仕事を伝える相手は、直接発注する会社だけに限りません。SparkLaboの顧客事例では、システム開発企業が、業務のデジタル化を支援するDXコンサル、補助金・ウェブ・マーケティングの支援会社、士業・業務代行会社へ協業先を広げ、5か月で開発2件と保守1件、見込売上450万円につながりました。

協業先を広げたこの事例を原稿づくりに活かすなら、その困りごとを顧客から聞く立場の人にも、自社の仕事が伝わるかを考えます。SparkLaboでは、そうした紹介・協業相手を探し、互いに相談をつなぐ取り組みを設計して、実行と振り返りまで支援しています。