パートナー施策のKPIは何を見る?稼働・商談・受注の測り方

パートナーの稼働と顧客案件の進捗を分け、稼働率・商談化率・受注率を計算する方法を解説。仮の記録例を使い、集計期間・重複・進行中案件・費用を整理して、次に変える営業行動まで決められます。

目次

提携先は増えたのに紹介が来ない。紹介は来るのに受注が増えない。この二つは、確認すべき数字も直す場所も違います。

パートナー施策とは、他社と紹介、共同提案、共催などを行い、案件の入口を作る活動です。KPIは、その活動が成果へ近づいているかを確かめる指標を指します。この記事では、少人数の会社でも集計できる数え方と、数字から次の一手を選ぶ方法を整理します。

この記事の結論

パートナー施策は、提携先が動いているかを社数で、そこから生まれた相談が受注へ進むかを案件数で測ります。最初は稼働社数・相談案件数・有効商談数・受注数を記録し、同じ対象と期間で稼働率・商談化率・受注率を計算します。止まった箇所と支援の負担を見て、翌月に変える行動を一つ決めます。

最初はパートナーの社数と顧客案件の件数を分ける

まず「協力する会社が増え、動いているか」と「顧客の相談が商談・受注へ進んでいるか」を別に見ます。一社のパートナーから複数の相談が生まれるため、両者は一つの階段にはなりません。

パートナー側は候補・合意・稼働を社数で見る

候補企業は、顧客層や提供サービスの補完関係から、協業を検討したい会社です。合意した企業は、対象顧客、双方の役割、最初に試す施策まで決めた相手とします。

稼働は、合意した行動を実際に行った状態です。この記事では、顧客へ紹介の意向を確認した、共同提案を進めた、共催の告知を配信した、といった顧客へ届く行動を対象にします。資料交換や近況報告だけは準備として残し、稼働と分けます。

例えば、新しく面談した候補6社のうち、後日3社と協業に合意し、2社が初回の活動を終えたなら、「候補6社→合意3社→初回稼働2社」です。これは同じ候補群の進み具合です。以前から提携している会社の今月の稼働とは別に確認します。

SparkLaboでは、毎月2〜5社を目安にパートナー候補を紹介し、既存の人脈の外へ継続的に接点を広げる支援をしています。この社数が表すのは協業候補との出会いであり、顧客との商談数ではありません。候補から合意、初回実行へどう進んだかを別に追うことで、接点づくりの成果が分かります。

顧客側は相談・有効商談・受注を案件数で見る

紹介された連絡先を、そのまま商談には数えません。何について相談したいかが分かり、顧客が次の会話に同意していれば相談案件として記録します。その後、自社が対応できる課題と検討時期を確認し、次に行うことを顧客と合意できたものを、この記事では有効商談とします。

測るもの

数える単位

同じ相手・案件を数えるルール

稼働パートナー

社

一社が月に何度動いても、その月は1社

相談案件

件

顧客・部門・課題が同じ相談は1件

有効商談

件

同じ案件で複数回面談しても1件

受注

件

同じ受注を複数の紹介元の成果として合計しない

共催ウェビナーなら、申込者数は施策の反応として別に残します。具体的な相談へ進んだものから顧客案件として追うため、申込者全員を相談案件へ足しません。共催や共同提案の実施回数も、社数や案件数へ混ぜず、何を実行したかを確認する活動記録にします。

最初はこの四つの件数をそろえます。候補がまだいない段階なら候補数・面談数、提携直後なら初回実行までの日数を加えるなど、今の課題に必要なものだけを補います。活動の種類を整理したい場合は、パートナーセールスの仕組みと始め方も参考になります。

稼働率・商談化率・受注率を計算する

件数が分かったら、どこで止まっているかを率で確かめます。以下は計算方法を説明するための架空の例です。率には複数の定義があり得るため、この記事での分母と分子を示します。

稼働率は活動対象のうち動いた社数で計算する

6月1日時点で、6月に活動する対象として8社を決めていたとします。そのうち5社が6月末までに顧客への働きかけを実行した場合です。

6月の稼働率=6月に稼働した5社÷6月の活動対象8社×100=62.5%

残り3社について、予定した行動と止まった理由を確認します。紹介文を待っているのか、相手に時間がないのかで対応が変わるためです。

活動対象は月初に決め、途中で動かなかった相手だけを分母から外しません。準備中や双方で休止を合意した相手は、理由と一緒に別欄へ残します。月中に新しく合意した相手も新規枠で追えば、継続先の稼働と立ち上げを混同せずに済みます。

商談化率は同じ時期に受けた相談の行方を追う

同じ会社が、6月中に紹介で10件の相談案件を受けたとします。この10件を8月31日に確認すると、6件が有効商談へ進み、3件は対象外と判明、1件は初回面談を調整中でした。

6月紹介分の商談化率=8月31日までに有効商談へ進んだ6件÷6月に紹介された10件×100=60%

対象外3件も、実際に受けた相談なので分母へ残します。除いてしまうと、紹介対象のずれを見つけられません。調整中の1件は「未商談・調整中」と記録し、進展したら同じ6月紹介分の数字を更新します。

8月に商談した件数を、8月に受けた紹介件数で割る方法では、過去の紹介から進んだ案件が混ざります。「いつ入った相談が、どこまで進んだか」をそろえることが重要です。

受注率には結果が決まった件数と進行中件数を添える

上の有効商談6件が、8月31日時点で受注2件、失注1件、進行中3件だったとします。この記事では、受注・失注が決まった案件に対する受注率を使います。

決着済み案件の受注率=受注2件÷(受注2件+失注1件)×100≒66.7%

報告には「受注2件/決着3件、進行中3件」と併記します。66.7%だけでは、結果が出た案件がまだ3件しかないことや、残りがどうなるか分かりません。

有効商談6件を分母にした2÷6=33.3%も、8月31日時点の受注到達状況としては使えます。ただし、進行中3件を含む途中の数値です。決着済みの受注率と同じ名前で比較せず、どちらの計算を使ったかを記録します。決着案件が0件なら、受注率は0%ではなく「未算出」です。

同じ対象と期間で比べ、重複と未確定を分ける

率の上げ下げを判断する前に、比べる条件をそろえます。経過時間や数え方が違うと、活動が改善していなくても数字だけが良く見えることがあります。

紹介月と経過日数をそろえて比較する

「6月に紹介された10件」のように、同じ時期に入った案件を一組で追います。この組をコホートと呼びます。難しい仕組みを作る必要はなく、案件一覧へ紹介日を残せば集計できます。

毎月の報告には、二つの見方があります。

見方

使う場面

例

今月起きたこと

今月の仕事量と結果を把握する

8月に受けた相談、8月に行った商談、8月の受注を別々に数える

同じ紹介月の行方

相談から商談・受注への進みやすさを改善する

6月紹介分が、その後いつ商談化・受注したかを追う

6月紹介分と7月紹介分を同じ8月31日に集計すると、6月の方が長く営業できています。月同士の率を比べるときは、例えば各案件の紹介から60日後の状態でそろえます。60日は例なので、自社の通常の商談期間に合う日数を決めてください。まだその日数が経っていない案件は、比較対象へ入れず観測待ちと表示します。

日々の対応では最新状況を見つつ、比較用には「紹介から何日後か」をそろえた記録を残すと、古い案件が多い月ほど有利になる問題を避けられます。

一つの案件に一つの番号を付ける

同じ顧客を二社から紹介された場合でも、同じ部門の同じ課題への相談なら、全体集計では一案件です。案件番号を付け、紹介元は複数記録しても、相談件数や受注金額は重ねて足しません。

パートナー別の表へ両社の関与を載せる場合は、その表の合計を全体件数にしないようにします。全体件数は案件番号の重複を除いて集計します。一社の顧客から別部門・別課題の相談が生まれた場合は、別案件として分けられます。

売上がまだ発生していない見込案件も、受注済みや売上計上済みと分けます。進行中を失注扱いにすることも、見込金額を確定した成果へ加えることも避けます。

KPIの目標は自社の実績と必要な受注から決める

実績が少ないうちは、他社の率をそのまま目標にするより、合意した活動を実行できるかを先に見ます。例えば「対象顧客と紹介文を共有した二社で、今月中に顧客への打診を一度ずつ試す」と置けば、成果が出なくても、どこで止まったかを確認できます。

紹介や受注の件数は結果として残し、少数の案件で率が上下しただけで相手の良し悪しを決めません。紹介数を相手への一方的なノルマにせず、自社が用意する材料や返答の速さも見直します。

結果が十分に出そろってきたら、自社の実績から必要な案件数を逆算できます。例えば、同じ条件で追い、全件の結果が出そろった過去の紹介20件から4件を受注しているなら、紹介から受注への到達率は20%です。新たに2件受注したい場合、同じ条件が続く仮定では、2件÷20%=10件の相談が必要になります。

この10件を、稼働するパートナーが生み出せそうか、自社が商談対応できるかを確認します。足りない原因が候補不足なのか、紹介のずれなのか、商談後の停滞なのかで、増やす活動を変えます。紹介から受注まで通常2か月かかるなら、受注したい月の2か月前から相談の入口を作る計画です。

SparkLaboでは、候補探索、関係構築、施策実行を進め、最短3か月目からパートナー経由のリード獲得を狙えます。ここでのリードは顧客候補との接点であり、受注の期限ではありません。自社の計画でも、候補と出会う時期、最初に動く時期、顧客が検討する期間を分けると、売上だけを待つ状態を減らせます。

受注金額だけでなく粗利と支援負担を見る

受注が増えても、紹介料や商談同席、個別見積もりの負担が大きければ、続けるほど余力が減ることがあります。受注数と金額に加え、サービス提供後に残る粗利と、案件を作るための追加負担を見ます。

金額の状態を分けてから比べる

受注時には契約金額と見込原価を残し、提供後には実際の売上と原価へ更新します。見込売上、月額契約の年換算額、既に計上した売上を同じ金額欄へ混ぜません。まだ提供していない案件を評価する場合は、見込の採算として扱います。

粗利は、売上からその商品・サービスを提供するための原価を引いた額です。次の表は、提供が完了した案件群を振り返る架空の例です。紹介料、共同施策費、営業対応の社内工数は、表の提供原価に含めていない前提です。

項目

金額

何を見ているか

売上

120万円

対象案件群で計上した売上

提供原価

70万円

納品・サービス提供にかかった原価

粗利

50万円

120万円−70万円

紹介料

10万円

対象案件群の紹介料

共同施策費

5万円

対象案件群に配分した施策費

社内の営業対応工数

10万円相当

同席・調整時間を社内基準で換算

追加負担を引いた残額

25万円

50万円−10万円−5万円−10万円

25万円は、追加負担を踏まえて施策を比べるための管理用の値です。全社の固定費まで引いた利益ではありません。紹介料や社内工数を既に原価へ含めている場合は、もう一度引かないようにします。

立ち上げ費用と継続対応の負担を分ける

資料作成や共催の準備には、その月だけで回収しない費用もあります。一件の受注へすべて載せたり、反対に一切載せなかったりせず、「どの案件群・期間で負担を見るか」を決めて記録します。

少人数なら、金額へ換算する前に、パートナー別の同席・資料作成・調整時間を残すだけでも改善に使えます。受注は同じでも、毎回特別な資料が必要な相手と、共通資料で進む相手では負担が違います。費用が重いと分かったら、単に紹介を減らすのではなく、対象案件や支援範囲を見直します。

数字を記録し、翌月に変える行動を決める

記録は、パートナー一覧と案件一覧を分けると始めやすくなります。パートナー一覧には合意日・活動対象月・実行したこと・次の行動を、案件一覧には案件番号・紹介元・紹介日・商談化日・結果と確定日を置きます。率を後から計算できるよう、現在の状態だけでなく進んだ日も残します。

共同施策を行ったときは、実施日、関与したパートナー、対応する案件番号を付けます。記録全体の設計は、PRMの意味とパートナー管理の始め方が補足になります。

週次では、期限が過ぎた連絡や商談の次の一手を確認します。月次では件数・率と止まった理由を見て、次の表から優先して変える場所を選びます。売上や費用の評価は、自社の商談・提供期間に合わせて四半期などでも見直します。

数字に表れた状態

先に確かめること

次に変える行動の例

候補と会うが合意へ進まない

相手の顧客に役立つ理由があるか

候補業種か、相手へ返せる価値を見直す

合意したが稼働していない

最初の行動、材料、担当が決まっているか

一社と紹介文を作り、顧客へ確認する日を決める

稼働しているが相談が出ない

顧客の困りごとを見つけられているか

紹介対象を「業種」から「困っている状態」へ具体化する

相談は来るが商談化しない

対象外が多いのか、初動が遅いのか

対象外条件か、自社の連絡・日程調整を直す

商談は進むが受注しない

課題、判断者、時期、提案範囲のどこで止まったか

失注・停滞案件から、提案前に確認する質問を変える

受注は増えたが負担が重い

紹介料と同席・調整時間のどこが増えたか

受ける案件条件や同席・個別対応の範囲をそろえる

数字は原因を断定するものではありません。実際に止まった案件・相手へ戻って確かめます。

例えば、相談10件のうち3件が対象外だったなら、翌月の目標を「紹介をさらに10件増やす」だけにしません。営業担当がその3件の共通点を整理し、協業先と「紹介前に確認する質問」を一つ決めます。翌月も同じ条件で対象外の件数と理由を確認すれば、変更が役立ったかを判断できます。

改善の記録は、次のように一行で残せます。

対象外3件はいずれも自社で扱わない課題だった。営業担当が次回定例までに対象外の例を紹介資料へ追加する。次月紹介分は、課題の一致と紹介前に確認できた内容を月末に振り返る。

初回実行で止まっている場合はパートナーのオンボーディング手順、相談が生まれない場合は紹介営業が増えない原因で、該当する工程を具体化できます。改善を続けるか相手や方法を変えるかは、パートナー施策のやめどきで整理しています。

まずは今月の活動対象と直近の紹介案件を並べ、社数と案件数、進行中と決着済みを分けてください。止まった理由が分からない一件を確認することが、集計項目を増やすより先に行う仕事です。

SparkLaboは、パートナー候補との接点づくり、紹介・共催などの施策設計と運用、月次の振り返り・改善まで支援します。候補が足りないのか、提携後の行動が止まっているのかを整理し、次の共同施策まで進めたい場合は、今ある記録を起点に相談できます。

執筆者

樫根 久澄のプロフィール写真

樫根 久澄

株式会社SparkNow 代表取締役CEO/SparkLabo運営

早稲田大学政治経済学部卒業。双日株式会社でファイナンス業務に従事後、エンジニアに転身し、システム開発会社の海外拠点代表を務める。2022年にオンライン診療スタートアップを創業し、売却を経験。

BtoB事業の顧客開拓のため、30の経営者コミュニティに入会・参加し、経営者交流会には1,000回以上参加。20以上のアポイント獲得サービスを利用し、累計2万枚のデジタル名刺を自ら配布。こうした実践を通じて、出会いを継続的な案件獲得につなげる難しさを実感し、企業同士の紹介・協業を通じたパートナーセールスを支援する「SparkLabo」を立ち上げる。SparkLaboでは、経営者交流会・会食の開催・共催を100回以上重ねている。