パートナーセールスとは?仕組み・代理店営業との違い・始め方を解説

他社との協力で顧客を増やすパートナーセールスとは。代理店営業・営業代行との違いから、仕事、向く企業、一社から試す手順まで、具体例と支援事例で説明します。

目次

「紹介で受注できることはある。でも、次の紹介がいつ来るかは分からない」。代表の人脈や自社だけの新規開拓に限界を感じたとき、検討したいのがパートナーセールスです。

この記事の結論

パートナーセールスとは、販売や紹介で協力する他社を通じて顧客を増やす営業活動で、代理店に販売してもらう形のほか、顧客を紹介してもらう形や、一緒に提案する形があります。

パートナーセールスとは、他社と協力して顧客を増やす営業

パートナーセールスでは、自社の商品やサービスを必要とする顧客に、すでに接点を持つ企業と協力します。その協力相手が「パートナー」です。「パートナー営業」と呼ばれることもあります。

たとえば、業務システムを開発する会社を考えてみましょう。以下は仕組みを説明するための架空例です。

経理作業を代行する会社が、顧客から「受注データを会計ソフトに何度も入力するのが大変だ」と相談されました。代行会社は作業を引き受けられますが、システム改修は専門外です。そこで、事前に得意分野を聞いていた開発会社を、顧客の了承を得て紹介します。

開発会社は、顧客が何に困っているかを把握して商談を始められます。代行会社も、自社だけでは解決できなかった相談に応えられます。顧客にとっては、事情を知る会社から相談先を案内してもらえる関係です。

自社が直接知らない顧客にも、パートナーとの信頼関係を通じて出会える。 これが、パートナーセールスを営業に加える意味です。

協力の形は、紹介だけではありません。開発会社と業務改善のコンサルティング会社が一緒に提案する形もあれば、販売店が自社製品を顧客へ販売する形もあります。どこまで相手に任せるかによって、必要な準備が変わります。

代理店営業・営業代行・パートナーマーケティングとの違い

まず、代理店営業は、パートナーセールスの代表的な形の一つです。二つを完全に別の営業手法として分ける必要はありません。企業によっては、パートナーセールスを代理店・販売店経由の営業という意味で使います。この記事では、紹介や共同提案まで含めて説明します。

一方、営業代行は「営業の仕事をどこまで外部に任せるか」という委託の話です。パートナーセールスは「誰との協力で顧客へ届けるか」という売り方の話なので、両者を組み合わせることもできます。

営業の進め方

協力相手が担うこと

自社に必要な仕事

直接営業

原則として自社が顧客開拓から担う

接点づくり、商談、提案、受注後の対応

紹介型のパートナーセールス

困っている顧客と自社をつなぐ

紹介条件の共有、紹介後の商談・提案

共同提案型のパートナーセールス

互いの専門分野を組み合わせて提案する

役割分担、見積もりと顧客対応の調整

代理店型のパートナーセールス

合意した範囲で製品の説明・販売を担う

商品研修、販売資料、案件や販売状況の確認

営業代行

契約した営業業務を代わりに実行する

委託範囲の決定、品質確認、商談情報の共有

契約や導入後のサポートを誰が担当するかは、形の名称だけでは決まりません。たとえば紹介型でも商談へ同席する場合があり、代理店型でも自社が技術説明を担う場合があります。

「パートナーマーケティング」は、他社とセミナーを共催したり、それぞれの顧客へ役立つ情報を発信したりして、見込み客との接点を増やす活動です。そこから個別の相談や共同提案へ進むと、パートナーセールスにつながります。社内の担当範囲が重なることもありますが、共催の参加者数と、その後の商談・受注は分けて捉えます。

パートナーセールス担当は何をするのか

担当者の仕事は、提携先を増やし、その相手が紹介・提案・販売を続けられるようにすることです。中小企業では、最初は代表や営業責任者が兼任しても構いません。ただし、次の仕事を誰が持つかは決めておきます。

顧客の困りごとを先に知る相手を探す

相手選びでは、業種の近さだけでなく「自社に相談が来る前に、誰が顧客の困りごとを聞いているか」を考えます。

先ほどの開発会社なら、経理代行会社が候補になります。ただし、顧客が小規模な個人事業主ばかりなら、大きなシステム開発を必要とする場面は少ないかもしれません。面談では、相手の顧客規模、よく受ける相談、自社では対応しきれない業務を聞き、協力する場面があるかを確かめます。

相手が紹介や提案をしやすい材料を用意する

会社案内を渡すだけでは、相手はいつ紹介すればよいか判断できません。「どんな相談なら役立つか」「何を解決できるか」「最初に誰へ連絡するか」を短く伝えます。

紹介型なら、顧客に説明する一文と窓口の連絡先が出発点です。代理店型なら、製品の説明方法や見積もりの手順、質問への回答など、販売するための支援が必要になります。

相手が協力する理由も確認します。顧客の相談に応えられる、自社サービスと一緒に提案できる、合意した報酬を得られるなど、相手にも利点がある形をつくります。

紹介後の対応と、次に改善することを決める

紹介を受けたら自社から連絡し、商談を進めます。共有できる範囲で結果を紹介者へ返すことも担当の仕事です。何が起きたか分からないままでは、相手は次の紹介をしにくくなります。

確認する数字は、パートナー候補との面談数、実際に紹介や提案が動いた相手の数、顧客との商談数、受注数です。面談ばかり増えて紹介が出ないなら、相手の数より、顧客像や紹介条件の伝わり方を見直します。詳しい役割分担は、パートナーセールスの体制づくりでも整理しています。

どんな企業に向く?メリットと始める前の注意点

専門性があり、他社のサービスと組み合わせられる企業に向く

コンサルティング、システム開発、採用支援、業務代行など、買う前に内容や品質を見極めにくいBtoBサービスでは、知っている相手からの紹介が相談のきっかけになります。

特に検討しやすいのは、自社の得意な顧客が分かっていて、その顧客と別の場面で接する企業がいる場合です。採用支援と社員研修、Web制作と集客支援のように、前後の課題を引き継げる組み合わせを探せます。

自社だけで新規接点を探す営業に加え、顧客の事情を知る相手から相談が届くルートを持てることがメリットです。代表の知人に頼る紹介も、相手の選定や依頼方法を社内で共有すれば、代表だけが事情を知る状態から変えられます。

関係づくりと利益の分け方には手間がかかる

提携契約を結んでも、相手が自社商品を優先してくれるとは限りません。紹介する場面を一緒に考え、必要な情報を渡し、定期的に連絡する時間が要ります。紹介料や販売手数料を設定する場合は、その費用を払っても利益が残るかを確かめます。

また、紹介後の対応が遅かったり、提供品質に問題があったりすると、紹介者と顧客の信頼まで損ねます。自社で対応する担当者と、引き受けられる案件の範囲を決めてから始めてください。

今月中の商談数を直ちに増やす必要がある場合や、自社で誰に何が売れるかまだ分からない場合は、既存顧客への提案や直接営業を先に進める判断も必要です。導入の得失を詳しく比べたい方には、パートナーセールスのメリット・デメリットが参考になります。

最初は、顧客の困りごとを共有できる一社から始める

最初から大きな代理店制度をつくる必要はありません。この記事では、少人数のBtoB企業が紹介型を試すときの手順を、次のように整理します。

  1. 受けたい相談を一つ決める。 既存の得意案件から、顧客の状況と困りごとを書き出します。「システム開発全般」ではなく「受注情報の二重入力を減らしたい会社」のようにします。
  2. その相談を聞く相手を一社選ぶ。 取引先や過去の名刺から候補を探し、実際に似た相談を受けることがあるかを聞きます。相手の顧客に合わなければ、別の候補を探します。
  3. 紹介する場面と引き継ぎ方を決める。 顧客の了承を得てからつなぐこと、最初の連絡担当、紹介料の有無、結果の共有範囲をすり合わせます。
  4. 次に話す日を決め、試した結果を確かめる。 紹介がなければ、相談自体がないのか、説明しにくいのかを確認します。紹介後に商談へ進まなければ、顧客像や自社の対応を見直します。

相手に渡す説明は、たとえば「受注情報を複数のシステムへ手入力している会社が対象です。入力をまとめる方法を検討できるので、その相談があれば、まず状況を伺います」といった短い文章から始められます。これは説明例であり、自社が実際に対応できる範囲に置き換えてください。

一社とのやり取りで紹介条件が伝わるようになったら、同じ顧客課題に接する候補へ広げます。最初の紹介が来るのを待ち続けるより、紹介しやすい条件を確かめながら進められます。

紹介を営業ルートに育てたSparkLaboの支援事例

実際に、紹介を増やす取り組みは売上や代表の働き方にどうつながるのでしょうか。紹介営業・パートナー施策の仕組みづくりを支援するSparkLaboの顧客事例を紹介します。

営業コンサルティング企業で、4か月の成約売上300万円

SparkLaboが支援した営業コンサルティング企業では、4か月で成約売上300万円につながりました。もともと紹介中心で営業しており、さらに仕組み化したいという課題を持つ企業です。

支援では、同規模の経営者との接点づくり、営業支援会社との提携、消費者との接点を持つ企業への紹介を提案しました。紹介中心だった営業を、具体的な協力先を選んで仕組み化した事例です。

社長が営業時間を減らし、経営業務へ戻れた事例

別のSparkLaboの顧客事例では、パートナー経由の紹介ルートができ、社長が営業に使う時間を大きく減らして、新規事業、戦略策定、事業改善へ時間を振り向けられるようになりました。

支援前は社長が営業をすべて担い、時間を使っても成約しにくい状態でした。導入後の紹介について、顧客は自社が行っていた他の営業手法より成約率が非常に高いと評価しています。商談の数だけでなく、社長がどの仕事に時間を使えるかという変化も、パートナーセールスを検討する意味になります。

SparkLaboでは、パートナー候補の探索・紹介に加え、相互紹介や共催セミナーなどの施策を企画・運営し、実施後の振り返りと改善まで支援しています。候補紹介の目安は毎月2〜5社、年間の期待値は30〜60社です。これは協業を検討する相手との接点数で、見込み顧客との商談件数ではありません。

自社に合う相手が分からない、代表一人では紹介後の取り組みを続けられない。そうした段階では、候補探しと継続運用を一緒に進められる支援が選択肢になります。

執筆者

樫根 久澄のプロフィール写真

樫根 久澄

株式会社SparkNow 代表取締役CEO/SparkLabo運営

早稲田大学政治経済学部卒業。双日株式会社でファイナンス業務に従事後、エンジニアに転身し、システム開発会社の海外拠点代表を務める。2022年にオンライン診療スタートアップを創業し、売却を経験。

BtoB事業の顧客開拓のため、30の経営者コミュニティに入会・参加し、経営者交流会には1,000回以上参加。20以上のアポイント獲得サービスを利用し、累計2万枚のデジタル名刺を自ら配布。こうした実践を通じて、出会いを継続的な案件獲得につなげる難しさを実感し、企業同士の紹介・協業を通じたパートナーセールスを支援する「SparkLabo」を立ち上げる。SparkLaboでは、経営者交流会・会食の開催・共催を100回以上重ねている。