経営者交流会の後に個別面談を設定しても、会社紹介を交換するだけでは関係は前へ進みません。大切なのは、相手を売り込み先と決めつけず、互いの顧客と課題を理解し、次に確かめることを見つけることです。
この記事の結論
経営者交流会後の個別面談では、自社紹介から始めず、面談の目的、相手の顧客と相談場面、双方が返せる価値を順に確認します。顧客候補・紹介者候補・協業候補の仮説を会話で確かめ、最後に負担の小さい次の行動を一つ合意します。
個別面談の目的と会話の順番をそろえる
個別面談は、交流会でできなかった自社説明を長くする場ではありません。相手と自社の間に、顧客、紹介、協業のどの可能性があるかを一緒に確かめる場です。
SparkLaboは100回以上の経営者交流会開催経験があります。その現場知見を踏まえ、この記事では個別面談を「目的共有、相手理解、相互価値、次の合意」の四段階で整理します。
最初に面談の目的を言葉にする
冒頭では、今日の時間で何を知りたいかを短く共有します。
「先日の交流会では事業の概要だけ伺ったので、今日はどんな企業からどのような相談が多いかを知りたいです。互いに役立てる場面があるかも一緒に確認できればと思います」
このように伝えると、売り込みを受ける面談ではなく、双方の可能性を整理する面談だと分かります。自社が話す時間、相手に聞く時間、最後に次の行動を決める時間も先にそろえます。
相手の顧客と相談場面を聞く
事業内容だけでなく、誰から、どんな出来事の後に、どのような相談を受けるかを聞きます。
- 最近、どのような企業から相談を受けましたか
- 相談が来る前に、顧客の社内では何が起きていますか
- 最初に相談するのは経営者、人事、営業、管理部門のどなたですか
- 相談後、どの支援だけでは解決しきれないことがありますか
「顧客は中小企業です」のような広い答えで止めず、相談が生まれる場面まで具体化します。ここが分かると、自社が顧客になり得るか、紹介できるか、サービスを補完できるかを考えやすくなります。
双方が返せる価値を確かめる
相手に何を求めるかを聞く前に、自社が返せる価値を示します。顧客の紹介だけが価値ではありません。
自社の知見を提供する、相手の顧客が困る周辺課題を補う、共催企画を考える、適切な専門家を紹介するなど、返し方は複数あります。「紹介してください」ではなく、「この場面なら当社が補足説明できます」のように、具体的な場面で伝えます。
個別面談の前に三つの仮説を準備する
準備するのは完成した提案ではなく、会話で確かめる仮説です。相手のWebサイト、交流会で話した内容、公開情報を見て、顧客候補・紹介者候補・協業候補の三つを一行ずつ書きます。
相手の役割について仮説を一つずつ持つ
たとえば、採用支援会社と会う場合は次のように整理できます。
- 顧客候補の仮説:自社の採用に課題があり、直接支援を検討する可能性がある
- 紹介者候補の仮説:顧客企業から、自社が解決できる営業課題も聞いている可能性がある
- 協業候補の仮説:採用と営業組織づくりを一緒に整理すると、顧客へより広い価値を返せる可能性がある
三つすべてに当てはめる必要はありません。面談前に候補を持つことで、自社説明だけで終わらず、確認したい問いが生まれます。
仮説を断定せず質問へ変える
仮説は相手を決めつけるためではありません。「御社の顧客は必ずこの課題を持っていますよね」ではなく、「その支援の前後で、営業体制について相談されることはありますか」と聞きます。
仮説が外れた場合も重要な情報です。顧客が違う、相談時期が違う、相手が求める協力が違うと分かれば、無理に関係を進めずに済みます。
まだ個別面談へ進める相手を選べていない場合は、先に経営者交流会の後、誰と2回目に会うべきかで優先基準を確認してください。本記事は、会う相手を決めた後の会話に限定しています。
顧客候補・紹介者候補・協業候補を見極める
同じ相手でも、話を聞くうちに役割が変わることがあります。最初から一つに固定せず、相手の課題、保有接点、補完関係から現在の可能性を判断します。
顧客候補には課題と判断条件を聞く
相手自身が困っている場合は、顧客候補として現状を確認します。
- どの場面で問題が起きていますか
- その状態が続くと、売上や業務へどのような影響がありますか
- すでに試した方法はありますか
- 何が分かれば、次の検討へ進めますか
課題が明確でも、今すぐ提案を求めているとは限りません。予算や決裁者を急いで聞く前に、本人が変えたい課題か、情報収集の段階かを確かめます。
紹介者候補には相談が生まれる場面を聞く
紹介者候補には「紹介できる会社はありますか」と聞くのではなく、相手の顧客がどの場面で困り、自社を思い出せるかを確認します。
「その相談を受けたとき、どのような会社なら安心してつなげられますか」「紹介先へ何を説明できると判断しやすいですか」と聞きます。紹介条件が曖昧なら、対象企業、相談の合図、自社が対応できる範囲を一枚にまとめるところから始めます。
協業候補には顧客へ返す価値を聞く
協業候補とは、両社が組むこと自体ではなく、顧客にとって何が良くなるかを確認します。
一社では解決しにくい課題、両社の役割分担、顧客窓口、最初に試せる小さな施策を聞きます。共催、共同提案、相互紹介などの方法は、その後に選びます。方法から話すと、顧客価値が曖昧なまま企画だけが残ります。
個別面談の最後に次の行動を一つ合意する
面談が有意義でも、「また何かあれば」で終えると動きません。一方、関係が浅い段階で紹介や共同提案を求めると、相手の負担が大きくなります。
関係の深さに合う小さな行動を選ぶ
次の行動は、面談で確認できた事実に合わせます。
- 顧客候補:課題に合う事例や確認資料を一つ送り、次に判断する論点を決める
- 紹介者候補:紹介条件を一枚にまとめ、相手が違和感を指摘できる状態にする
- 協業候補:両社で想定顧客を一社ずつ持ち寄り、補完価値を確かめる
- 今は進めない相手:役立つ情報を送る時期や、再接触する出来事を決める
日時、担当、目的のうち少なくとも一つを具体化します。日程を決められない場合は、いつ何が起きたら再び話すかを合意します。
面談後に仮説と再接触条件を記録する
面談後は、会社紹介の要約だけでなく、相手の顧客、相談場面、現在の役割仮説、自社が返せる価値、次の行動、再接触条件を記録します。
個別面談の成果は、その場で受注や紹介が発生したかだけでは判断しません。顧客候補、紹介者候補、協業候補のどれとして関係を深めるか、次に確かめることが明確になれば、面談は案件獲得ルートを作る一歩になります。
