中小BtoB企業の営業計画の作り方|目標を担当・行動・期限へ落とす

中小BtoB企業向けに、売上目標を重点顧客、案件獲得ルート、工程目標、担当、今週の行動、期限、見直し条件へ落とす一枚の営業計画を解説します。

目次

「今期は新規売上を増やす」「重点業界を開拓する」と決めても、担当者が今週何をするかまで決まらなければ、営業計画は実行されません。少人数企業では、長い計画書より、目標と日々の行動を一枚でつなぐことが重要です。

この記事の結論

中小BtoB企業の営業計画は、売上目標を置くだけでなく、重点顧客、案件獲得ルート、工程目標、担当者、今週の行動、期限、見直し条件を一枚にまとめます。現状の単価と工程別の実績から必要な受注・商談・接点を逆算し、週次では最初に遅れた工程だけを特定して、行動、担当、期限のいずれかを修正します。

営業戦略は「どの顧客へ、どの価値を、どの経路で届けるか」という選択です。営業目標は到達したい結果、KPIは途中経過を見る指標です。営業計画は、それらを担当者が実行できる行動と期限へ変えるものです。

一枚の営業計画に七つの項目をまとめる

一枚にする目的は、情報を減らすことではありません。目標と行動のつながりを全員が同じ順序で確認できるようにすることです。

項目

記載する内容

確認する問い

結果目標

新規売上、受注件数、維持したい既存売上

いつまでに何を実現するか

重点顧客

業種、規模、課題の兆し、対象外

誰のどの課題を優先するか

案件獲得ルート

紹介、既存接点、Web、アウトバウンド、共催など

どこで対象顧客と接点を作るか

工程目標

接点、会話、商談、提案、受注

どの工程をどこまで進めるか

担当

実行者と判断者

誰が動き、誰が例外を決めるか

行動と期限

今週の具体的な作業、完了日、完了条件

いつ何を終えれば次へ進めるか

見直し条件

続行、変更、停止を判断する日と材料

何を見て計画を直すか

目標と重点顧客と案件獲得ルートを一組にする

結果目標だけを置くと、担当者は行動量を増やすしかありません。「新規売上を増やす」に対して、重点顧客と案件獲得ルートを同時に決めます。

たとえば「製造業を開拓する」だけでは広すぎます。「複数拠点の受発注業務を手作業で管理している中小製造業」のように、企業属性と課題の兆しを組み合わせます。そのうえで、既存顧客からの紹介、業務改善会社との共同提案、重点企業への直接接点など、顧客へ届く経路を選びます。

計画の段階で案件獲得ルートが一つも具体化できない場合は、担当者の行動力ではなく営業の入口が不足しています。営業に限界を感じたときの新しい案件獲得ルートの作り方が次の整理に使えます。

行動には担当と期限と完了条件を付ける

「紹介を増やす」「提案を強化する」は方針であり、行動ではありません。行動は、担当者が完了を判定できる単位へ変えます。

  • 誰が:実行担当と判断担当
  • 何を:相手、作業、成果物
  • いつまでに:期限
  • どの状態まで:完了条件
  • 次に誰へ渡すか:引き継ぎ先

たとえば「営業担当が金曜日までに、対象条件に合う既存顧客五社について紹介可能性を確認し、経営者へ次の連絡案を渡す」のようにします。件数は自社の接点数と担当時間から決め、例の数字をそのまま目標にしないでください。

売上目標から受注・商談・接点を逆算する

営業計画では、結果から前工程へ逆算します。基本の考え方は次の通りです。

  • 必要受注数 = 新規売上目標 ÷ 平均受注単価
  • 必要提案数 = 必要受注数 ÷ 提案から受注へ進んだ率
  • 必要商談数 = 必要提案数 ÷ 商談から提案へ進んだ率
  • 必要接点数 = 必要商談数 ÷ 接点から商談へ進んだ率

平均単価や工程別の率は、商品、顧客、案件獲得ルートで変わります。全案件を混ぜず、今回の重点顧客とルートに近い実績を使います。

既存実績がある場合は工程別の率を使う

過去の案件を、接点、会話、商談、提案、受注の同じ工程で並べます。案件の見込みが曖昧な場合は、BtoB営業の売上予測が外れる原因と見直し方も使い、次の顧客行動が確認できている案件と、営業側の期待だけの案件を分けます。

逆算した接点数が担当者の使える時間を超えるなら、目標、単価、転換率、ルートのいずれかを見直します。達成不可能な行動量を計画へ残すと、途中から記録自体が止まります。

実績がない場合は仮置きと学習期限を分ける

新しい商品や新しい案件獲得ルートには、信頼できる転換率がありません。この場合は数字を断定せず、仮置きと学習期限を記載します。

たとえば「最初の一か月は対象企業との会話が成立するかを確認し、月末に接点から会話へ進んだ実績で翌月計画を更新する」とします。売上目標の達成判定と、仮説を学ぶ期間を混同しないことが重要です。

週次では最初に遅れた工程だけを直す

週次確認は、担当者を責める会議ではありません。計画と実績の差が最初に生じた工程を見つけ、次週の行動を更新する時間です。

計画値と実績値を同じ工程で比べる

結果だけを見ると、「受注が足りないから接点数を増やす」という結論になりがちです。次の順で確認します。

  1. 計画した行動は期限までに完了したか
  2. 対象条件に合う企業へ接点を作れたか
  3. 接点から会話、商談、提案へどこまで進んだか
  4. 次へ進まなかった理由を顧客の事実として記録できたか
  5. 担当、行動、期限、対象、ルートのどれを変えるか

行動が未完了なら、担当時間や作業単位を見直します。行動は完了したが会話が生まれないなら、対象か接点理由を見直します。商談はあるが提案へ進まないなら、課題、参加者、時期、予算などの確認を見直します。

続ける・変える・止める条件を記録する

営業計画には、開始時点で判断日を置きます。「成果が出るまで続ける」では、優先度の低い施策が残ります。一方で、一週間で受注がないから止めると、検討期間の長いBtoB営業を評価できません。

見直し条件は、結果だけでなく学習できたかも含めます。

  • 続ける:対象顧客との会話が進み、次工程の条件が分かっている
  • 変える:行動は実行したが、対象・訴求・接点理由の仮説が外れている
  • 止める:対象外の反応が続き、修正仮説も作れない

最後に、次週の行動を担当、期限、完了条件まで書き換えます。会議で話しただけでは計画は更新されません。

まずは今月の計画を一枚にし、七つの項目で空欄を探してください。空欄が多い場所が、営業活動が止まりやすい場所です。売上目標を細かくすることより、担当者が次の一週間に実行できる行動へ変わっているかを優先します。