決裁者商談を増やすには?担当者への同席依頼と紹介ルートの作り方

担当者から決裁者へ進む方法と、紹介を通じて新しい接点を作る方法を整理。決裁者の確認質問、社内説明メモ、同席依頼文、初回商談の進行例まで紹介します。

目次

担当者とは何度も話せているのに、予算や導入の話になると止まってしまう。新しい相手に会えても、誰が判断するのか分からない。決裁者との商談獲得に行き詰まったときは、止まっている理由に合わせて、会う相手と議題を組み直します。

ここでいう決裁者は、その取引の予算や導入に承認を出す人です。必ずしも社長とは限りません。

この記事の結論

決裁者商談を増やすには、担当者と協力して同席の理由を作る方法と、顧客の課題を先に聞く紹介・協業相手から接点を作る方法を使い分けます。誰が何を決めるかを確認し、解決したい課題、判断してほしいこと、必要な時間を伝えて面談を依頼します。面談後は、次に誰が何を確かめるかまで合意します。

決裁者商談は、担当者から進む道と新しい接点を作る道で増やす

すでに課題を話せている担当者がいるなら、その人と社内検討を進める道から始めます。そもそも対象企業に接点がないなら、その顧客の相談を受けている人や会社を探します。

この記事では、営業が止まる状態と次の行動を次のように整理します。

今の状態

最初に確かめること

次に行うこと

担当者に関心はあるが、上に話が進まない

社内で何を説明・判断する必要があるか

担当者と説明メモを作り、必要な人の同席を依頼する

担当者自身も、解決する優先度を決められていない

放置した影響と、他の仕事より先に取り組む理由

課題と対応時期を整理し、同席を急がない

会いたい企業や部門に接点がない

その相手が、誰に仕事の相談をしているか

既存顧客、専門家、補完サービスの会社から紹介元を探す

決裁者には会えるが、その後が続かない

相手の課題と、面談で決めたいことが合っているか

相手選びと議題を見直し、次の検討条件を確認する

担当者は、現場の事情や導入後の使い方を知る大切な相手です。担当者を飛び越えて上司に連絡すると、すでに進んでいた相談を止めてしまうことがあります。今の窓口と協力して、必要な判断に関わる人を増やすと考えましょう。

役職名より、誰が何を決めるかを確認する

決裁者を探すときは、名刺の役職だけで判断せず、今回の購入で誰が何を判断するのかを聞きます。中小企業では社長が複数の役割を担うこともあれば、現場責任者に判断を任せていることもあります。

利用する人、推進する人、承認する人を分ける

例えば、勤怠管理の改善では、日々操作する担当者、導入を進める管理部長、費用を承認する社長が別々にいるかもしれません。情報システム担当による確認が必要な場合もあります。

全員を最初から一度に呼ぶ必要はありません。「業務に合うか」「社内で進めるか」「費用を認めるか」のうち、次に必要な判断を一つ選び、その判断に関わる人と話す機会を作ります。

検討の進め方として質問する

「決裁権はありますか」と権限だけを尋ねるより、相手が社内で進めやすくなる聞き方にします。例えば、次のように質問できます。

  • 「同じようなサービスを導入するときは、どなたが、どの順番で確認されますか」
  • 「今回の費用や導入時期について、ほかに相談しておく方はいらっしゃいますか」
  • 「社内で説明するとしたら、費用、効果、現場の負担のうち、どこを一番確認されそうですか」

担当者がまだ把握していなければ、次回までに確認できる範囲を相談します。分からない項目を営業側の想像で埋めず、確認先と次回連絡日を記録してください。

担当者と社内説明を整えてから、同席を依頼する

同席を頼むタイミングは、担当者と課題を共有でき、その人だけでは決められない論点が具体的になったときです。初回でもこの条件がそろえば依頼できますし、面談を重ねても課題が曖昧なら整理が先です。

担当者が転送できる一枚の説明メモを作る

以下は、請求業務の改善を提案する想定例です。実在企業の事例や効果予測ではありません。実際には担当者に確認した事実へ置き換えて使います。

項目

社内説明メモの記入例

今の課題

請求データを複数の表に転記しており、月末に確認作業が集中している

取り組みたい理由

担当者の増員だけで対応するか、転記自体を減らすかを決めたい

今回比較する案

現状の運用改善と、システム連携の二案を比較する

判断に必要な材料

費用概算、変更する業務、現場の作業量、試行の範囲。未確認箇所は宿題として明記する

次の面談で決めたいこと

費用試算のために、一部の請求業務を調査してよいか

同席を相談したい人

業務変更と調査工数を判断する管理部長。予算承認の段階で社長にも確認する

ここで見積金額や削減時間を推測で書き足してはいけません。数字がまだないなら、測る対象や試算条件を示します。担当者が社内で説明できる内容になっているか、先に見てもらいましょう。

同席の目的と時間を伝える

上の例なら、同席依頼は次のように書けます。時間は説明用の設定なので、実際の議題に合わせて調整してください。

「先ほど伺った月末の請求作業について、運用改善とシステム連携の二案を一枚にまとめます。次回は、費用を試算するための業務調査を進めてよいか、ご相談できればと考えています。業務変更をご判断される管理部長にも、30分ほどご同席いただくことは可能でしょうか。事前に説明メモをお送りしますので、社内で確認されそうな点があれば教えてください。」

相手が参加を判断できるのは、話題、依頼したい判断、所要時間が分かるからです。「上司の方にも一度ご挨拶を」とだけ頼むより、担当者も社内へ話を持っていきやすくなります。

断られたら、出席以外の進め方を相談する

日程が合わない場合は、担当者からの事前共有と書面での質問回収、必要な議題だけの短時間参加などを提案できます。社内の手順上、外部との面談が難しいなら、その手順に沿って資料を渡します。

一方、「まだ上司へ相談するほど困っていない」という返答なら、参加方法の問題ではありません。解決の優先度や必要性の確認へ戻ります。断られた理由によって、次の行動を変えましょう。

新しい接点は、顧客の課題を先に聞く相手から探す

接点がない企業へは、その顧客から日常的に仕事の相談を受けている会社や専門家を探します。例えば採用支援会社なら、経営者から人員不足を相談される社労士や組織開発会社が候補になります。

こうした他社の接点を通じて顧客を紹介してもらう、共同で提案する取り組みを、パートナーセールスと呼びます。紹介元が顧客の課題を理解していれば、「なぜ会うのか」を伝えやすくなります。

業種の一致より、相談が生まれる場面を考える

紹介を頼む相手の候補を、次のように整理してみてください。これはこの記事での探索例です。

自社の支援

顧客から相談が出る場面

紹介・協業相手の候補

採用支援

出店や事業拡大に人員が追いつかない

社労士、組織開発会社、経営支援会社

業務システム開発

業務の見直しに、既存ツールだけでは対応できない

業務改善コンサル、Web制作会社、業務代行会社

マーケティング支援

サイトはできたが、集客や問い合わせが増えない

Web制作会社、システム開発会社

まずは自社の既存顧客や取引先に、こうした相談を受ける相手がいないか確認します。新しく協業先を探す場合は、相手の支援事例を読み、顧客層と自社が補える仕事が重なるかを確かめます。同じ顧客に接していても、競合する支援内容や紹介を受ける余力は、面談で確認が必要です。

SparkLaboのシステム開発企業の顧客事例では、既存紹介への依存を課題として、DXコンサル、補助金支援、Web・マーケティング支援、士業・業務代行会社との協業を提案しました。5か月で開発2件と保守1件、見込売上450万円につながっています。

この事例は、決裁者の同席率を測ったものではありませんが、自社の顧客へ届く接点を補完サービスの会社まで広げた例として参考になります。ほかの業種の課題と協業先は、パートナーセールスの顧客事例8選で比較できます。

紹介依頼には、誰のどの相談に役立つかを書く

「経営者を紹介してください」だけでは、紹介元が相手を選べません。次のように、対象、相談の兆し、自社が話せることを伝えます。

「複数店舗を運営され、売上や在庫の集計を表計算で管理している企業のご相談があれば、弊社でお役に立てるかもしれません。拠点が増えて集計の確認に時間がかかる場面で、今の運用を残す範囲と連携すべき箇所を整理できます。該当する相談を受けた際に、先方が情報交換を希望されるようでしたら、おつなぎいただけると幸いです。説明文はこちらで用意します。」

これはシステム開発会社を想定した文例です。自社が対応できる課題へ書き換えて使います。紹介元にとっても、顧客から受けた相談を適切な相手へつなげる理由が必要です。

紹介前には先方の意向と共有してよい情報を確認し、面談後は共有できる範囲でお礼と経過を伝えます。相手別の文面を用意する際は、BtoBの紹介文テンプレートも参考になります。

決裁者との商談では、今回決めたいことから話す

決裁者が参加する商談では、担当者から聞いた内容を短く共有し、今回判断したい議題が合っているかを確認します。最初から契約を求めず、検討段階に合う合意を目指します。

例えば30分なら、次の進め方が考えられます。これはこの記事での進行例です。

  1. 最初の5分で、課題と本日の議題を確認する。「本日は、請求業務の調査を進めるかをご相談したいと考えています。ほかに先に確認されたい点はありますか」と尋ねる。
  2. 次の10分で、対応方針を比較する。 現状の運用を変える案とシステム連携案について、期待する変化、費用、現場の作業、未確認点を示す。
  3. 次の10分で、判断条件を聞く。「どの条件がそろえば調査を進められますか」「現場側で先に確かめることはありますか」と確認する。
  4. 最後の5分で、次の行動を決める。 誰が、何を、いつまでに確認するかを双方で合意し、連絡方法もそろえる。

面談後には、合意したことと未決事項を担当者も含めて共有します。「よい話でした」で終わった場合も、まだ判断できない理由を一つ確認してください。課題の優先度が低いなら、検討が動く条件と、次に連絡してよい時期を相談します。

面談数と、検討が進んだ案件数を分けて振り返る

振り返りでは、決裁者に会えた数だけでなく、議題が合っていたか、具体的な次の検討へ進んだかを確認します。一つの案件で複数回面談した場合も、面談回数と案件数は別に記録します。

例えば、同席を依頼した案件が8件あり、5件で面談を実施したとします。そのうち業務調査や見積条件の確認へ進んだ案件が2件なら、残り3件の議題や判断条件を振り返ります。これは計算と振り返りの説明用の数値で、目標値や業界平均ではありません。

  • 同席依頼に応じてもらえないなら、参加理由、タイミング、担当者の説明材料を確認する。
  • 面談はできるが次に進まないなら、顧客の課題、検討時期、必要な判断材料を確認する。
  • 同じ紹介元から課題が合わない相手が続くなら、紹介してほしい顧客像と相談の兆しを伝え直す。

まずは今止まっている一案件を選び、「次に必要な判断」「その判断をする人」「用意する材料」を書き出してください。新しい紹介ルートを継続的に作る場合は、パートナー施策のKPIで、協業相手の活動と紹介案件の進み方を分けて管理できます。

自社の既存接点だけでは紹介元を増やしにくい場合、SparkLaboは5,000社以上との直接接点を土台に、相性のよいパートナー候補の探索・紹介を支援しています。紹介や共同施策の企画・運営、月次の振り返りまで伴走し、顧客の課題がある場面で自社を思い出してもらえる関係を作ります。

執筆者

樫根 久澄のプロフィール写真

樫根 久澄

株式会社SparkNow 代表取締役CEO/SparkLabo運営

早稲田大学政治経済学部卒業。双日株式会社でファイナンス業務に従事後、エンジニアに転身し、システム開発会社の海外拠点代表を務める。2022年にオンライン診療スタートアップを創業し、売却を経験。

BtoB事業の顧客開拓のため、30の経営者コミュニティに入会・参加し、経営者交流会には1,000回以上参加。20以上のアポイント獲得サービスを利用し、累計2万枚のデジタル名刺を自ら配布。こうした実践を通じて、出会いを継続的な案件獲得につなげる難しさを実感し、企業同士の紹介・協業を通じたパートナーセールスを支援する「SparkLabo」を立ち上げる。SparkLaboでは、経営者交流会・会食の開催・共催を100回以上重ねている。