「BtoBメルマガを始めたいが、何を書けばいいか分からない」「商品紹介ばかりになると、売り込みに見えそうで送れない」「過去の商談先や名刺交換相手に連絡したいが、自然な話題がない」。メルマガを始める前後で、この悩みはよく起きます。
特にBtoB企業のメルマガは、キャンペーン情報や新機能のお知らせだけでは続きません。高単価のサービスや説明が必要な無形商材では、読者がすぐに購入を決めるわけではないからです。
BtoBメルマガで書くべきなのは、自社が今すぐ売りたいことではなく、顧客候補や紹介者候補が「今後の判断に役立つ」と感じることです。営業でよく聞かれる質問、失注理由、導入前に迷われるポイント、紹介してほしい顧客像などを整理すると、売り込みに見えにくいテーマを作りやすくなります。
この記事では、BtoBメルマガで何を書けばよいか迷う企業向けに、売り込みにならないテーマ設計の考え方を整理します。
BtoBメルマガで書くべきことは「売りたいこと」ではない
メルマガのネタを考えるとき、多くの会社は最初に「自社のサービスをどう紹介するか」を考えます。もちろん、サービスを知ってもらうことは重要です。ただし、毎回サービス紹介だけになると、読者にとっては読む理由が弱くなります。
BtoBの読者は、日々の業務や経営課題を抱えています。たとえば、営業責任者なら「商談はあるのに受注につながらない」、経営者なら「紹介が増えない」「新規案件の獲得が代表の人脈に偏っている」といった悩みを持っています。
その相手にとって役立つメルマガは、商品を直接売り込むメールではなく、次のような情報です。
- 自社の課題を整理できる情報
- 何を基準に判断すべきか分かる情報
- よくある失敗を避けられる情報
- 社内で説明しやすくなる情報
- 誰かを紹介するときに思い出しやすくなる情報
メルマガは、すぐに商談を作るためだけの施策ではありません。顧客候補や紹介者候補との接点を切らさず、必要なタイミングで思い出してもらうための継続チャネルです。だからこそ、テーマ設計では「何を売りたいか」よりも「相手が何を考えているか」から始める必要があります。
売り込みに見えるテーマ設計の3つのズレ
メルマガが売り込みに見えるときは、文章の表現だけでなく、テーマの選び方にズレがあることが多いです。
1つ目は、読者の課題よりも自社都合が前に出ていることです。「新サービスを出しました」「キャンペーンを始めました」「無料相談を受け付けています」という内容だけが続くと、読者は自分に関係のある情報だと感じにくくなります。
2つ目は、読者の検討段階と合っていないことです。まだ課題を整理している相手に、いきなり詳しい機能や料金を送っても響きにくい場合があります。逆に、具体的に比較している相手には、選び方や注意点が役立ちます。
3つ目は、顧客候補と紹介者候補を同じ相手として扱っていることです。顧客候補は、自社の課題を解決するために情報を読みます。一方で、紹介者候補は「どんな相談が来たときに、この会社を紹介すればよいか」を知りたい相手です。同じテーマでも、伝える角度を変える必要があります。
売り込みに見えないメルマガにするには、文章を柔らかくするだけでは足りません。誰に、どの検討段階で、何の判断材料を届けるのかを先に決めることが大切です。
配信先ごとにテーマを分ける
メルマガのテーマ設計では、まず配信先を分けて考えます。全員に同じ内容を送ろうとすると、どうしても当たり障りのない一般論になりやすいからです。
代表的な配信先は、次のように分けられます。
- 過去に商談した顧客候補
- 失注したが将来可能性がある相手
- 既存顧客
- 名刺交換した経営者・担当者
- 顧客を紹介してくれる可能性がある紹介者候補
- 協業や共催の可能性があるパートナー候補
過去商談先には、当時の検討理由や失注理由に近いテーマが向いています。たとえば「この課題を放置すると何が起きるか」「導入前に整理すべきこと」「よくある判断ミス」といった内容です。
既存顧客には、追加相談や別部門紹介につながるテーマが向いています。使い方の深掘りだけでなく、周辺課題、他部署で起きやすい悩み、同じような企業がつまずくポイントを扱うと、会話のきっかけになります。
紹介者候補には、自社サービスの細かい説明よりも「どんな会社に役立つのか」「どんな相談を受けたら思い出してほしいのか」を伝えるテーマが向いています。紹介者は顧客ではありません。紹介しやすくなる情報を届けることが重要です。
このように配信先を分けると、メルマガのネタは「自社が言いたいこと」ではなく「相手が次に考えること」から作りやすくなります。
営業現場の質問からテーマを拾う
BtoBメルマガのネタは、ゼロから考える必要はありません。もっとも使いやすい材料は、営業や商談の現場にすでにあります。
たとえば、商談でよく聞かれる質問は、そのままメルマガのテーマになります。読者がまだ問い合わせていないだけで、同じ疑問を持っている可能性があるからです。
テーマの種として使いやすいものは、次のような情報です。
- 商談でよく聞かれる質問
- 受注前に必ず迷われるポイント
- 失注理由として出やすい不安
- 導入後に顧客がつまずきやすいこと
- 既存顧客からよく相談される周辺課題
- 紹介者から説明を求められる顧客像
- 自社が断るべき相談、向いていない相談
たとえば、営業支援会社なら「営業代行と自社で採用する場合の違い」「アポ数はあるのに受注につながらない理由」「営業資料を作る前に整理すべき顧客像」などがテーマになります。
システム開発会社なら「開発会社に相談する前に整理すべき業務課題」「見積もりが比較しにくい理由」「既存ツールで対応すべきか個別開発すべきか」といったテーマが考えられます。
大切なのは、答えをすべて出し切ることではありません。読者が自社の状況を整理できるように、判断軸を渡すことです。判断軸が役立つと、読者は必要なタイミングで相談先として思い出しやすくなります。
顧客候補に向くテーマ例
顧客候補向けのメルマガでは、「今すぐ買ってください」ではなく、「まず自社の課題を整理してみてください」という立ち位置が向いています。
使いやすいテーマの型は、次の通りです。
- 課題整理型:なぜその問題が起きるのかを整理する
- 判断基準型:サービスや施策を選ぶときの見方を示す
- 失敗回避型:よくある失敗や見落としを伝える
- チェックリスト型:始める前に確認すべきことをまとめる
- 比較型:複数の選択肢の向き不向きを整理する
- 事例の学び型:匿名の事例から、成功要因や注意点を抽出する
たとえば、単に「当社のサービス紹介」ではなく、「営業代行を検討する前に整理したい3つのこと」「問い合わせ数はあるのに商談化しないときの見直しポイント」「BtoBで紹介が増えない会社に共通する課題」といった形に変えると、読者にとって読む意味が生まれます。
このとき、競合や他施策を強く否定する必要はありません。広告、テレアポ、営業代行、SEO、展示会などには、それぞれ向き不向きがあります。メルマガでは、相手を否定するよりも「どの状況なら合いやすいか」「どの状況なら別の接点設計も考えた方がよいか」を整理する方が、信頼につながります。
顧客候補向けのテーマでは、売り込みを減らすほどよいわけではありません。最後に自社が支援できる領域を短く添えることは自然です。ただし、本文の中心は読者の判断材料に置くことが大切です。
紹介者候補に向くテーマ例
BtoBメルマガでは、顧客候補だけでなく、紹介者候補との接点維持も重要です。紹介者候補とは、顧客を直接紹介してくれる可能性がある人や、協業先、既存顧客、士業、周辺サービスの事業者などを指します。
紹介者候補向けのテーマでは、読者本人が買うかどうかよりも、「誰を紹介すればよいか」が分かることが大切です。
向いているテーマは、次のようなものです。
- 相談が発生しやすい顧客課題
- 自社サービスと相性がよい企業の特徴
- 紹介前に確認しておくとよいこと
- よくある相談例と、対応できる範囲
- 自社では対応しない相談、別の専門家が向く相談
- 共催や協業につながりやすいテーマ
たとえば「このような相談を受けたら、営業支援が必要かもしれません」「採用支援の前に、組織課題を整理した方がよいケース」「システム開発より先に業務整理が必要なケース」といった内容です。
紹介者候補にとって役立つメルマガは、自社サービスの細かい機能説明ではありません。相手が誰かと話しているときに、「この相談なら、あの会社が合うかもしれない」と思い出せる情報です。
これは、紹介営業やパートナー施策を偶然で終わらせないためにも重要です。紹介は人間関係に依存しますが、紹介しやすい顧客像や相談テーマを定期的に伝えておくことで、思い出してもらえる機会を増やしやすくなります。
商品紹介を入れるときの自然な扱い方
売り込みに見えないメルマガにするために、商品紹介を一切入れてはいけないわけではありません。問題は、商品紹介が先に来すぎることです。
自然な流れにするには、次の順番で書くと扱いやすくなります。
- 読者が抱えやすい課題を示す
- その課題が起きる理由を整理する
- 自社で確認できるポイントを出す
- 解決策の選択肢を複数示す
- そのうちの一つとして自社が支援できる領域を添える
商品紹介は、読者の課題整理の後に置くことで、売り込みではなく「選択肢の提示」になります。逆に、課題整理がないままサービス名や機能だけを並べると、読者にとっては自分ごとになりにくくなります。
また、開封率、クリック率、商談数、受注数が必ず改善するといった表現は避けるべきです。メルマガは、顧客候補や紹介者候補との関係を切らさないための継続チャネルです。短期成果を保証するものではなく、接点を保ち、必要なタイミングで思い出してもらうための運用として設計します。
BtoBメルマガで何を書くか迷う場合、ネタ出しだけを増やしても根本的な解決にならないことがあります。配信先、テーマ設計、原稿作成、確認フロー、配信後の反応確認までがつながっていないと、メルマガは続きにくく、売り込みにも寄りやすくなります。 SparkLaboでは、紹介営業・パートナー施策を偶然ではなく仕組みにする支援に加えて、自社の顧客候補・紹介者候補に向けたメルマガ運用も、企画、文章作成、配信、分析の範囲で支援しています。
